農業協同組合新聞 JACOM
   
アグリビジネス業界ニュース

魚介類への残留基準値設定進む 知的財産権保護で中国支部結成
《農薬工業会》

 農薬工業会(井上克信会長、79会員)は7月11日、7月度理事会後の定例記者会見で、懸案であった魚介類への残留基準値の設定が進んでいること、知的財産権保護で農薬工業会中国支部を結成すること、などを明らかにした。基本路線が具現化しつつある。
 厚労省は現在、魚介類に対して一律基準値(0.01ppm)ではない新たな残留基準値を策定すべく、作業を加速させている。7月3日には「クミルロン」(商品名:ガミーラ、マックワンなど)で0.4ppm、「シメコナゾール」(同:サンリット、モンガリット、パッチコロンなど)で0.02ppmの基準値案の設定を公表した。
 中国における知的財産権侵害問題は、「ほぼ10年前から検討されていた」(業界首脳)問題。同会では、中国での農薬の知的財産権侵害問題に対処するため、上海IPG(知的財産権保護グループ)に加盟している農薬グループを同会の一組織として位置づけ、その活動を活性化させていく。
 上海IPGは、日系企業120社による知的財産権保護グループ、経産省、特許庁、JETROが支援している。上海農薬グループは住友、日曹、日農、日産、クミ化、石原の6社で構成されているが、今回の結成は「主に住友、日農が牽引した」(業界評)と思われる。
 記者会見では、その他に農業者大学校に対する農薬工業会奨学金制度の創設、食品業界と連携した農薬ゼミの実施、農薬Q&AのDVD化、などの進展が明らかにされた。
 農業者大学校は、(独)農業・食品産業技術総合研究所機構の1組織。奨学金は、1学年当たり2名に贈呈される(96万円)。同校は2年の修学から192万円の奨学金となる。他の奨学金制度との連携も重要だと思われる。

【解説】
 いわゆる「しじみ」問題から端を発した農薬残留基準値の設定問題。「0.01ppm」の一律基準値は、当時業界が提案していた「0.05ppm」に勝利し、(やや強行のもとに?)見切り発車された。厚労省は、現在の問題の発現を想定すらできなかっただろう。少なくとも生産者は泣いているが、食の安全・安心はその生産者と消費者が共有しなければならない。
 例えば、「クミルロン」の農薬残留基準値0.4ppmの設定案だが、仮に0.5ppmの農薬残留が検出されたらどうするのだろう。数値の問題ではないところに問題がある。「しじみ」問題は、業界全体として正面から取組まなければならない重要課題だ。
 今回の問題はワンショットの現象で、今後どの農薬製造・販売メーカーにも起こりうる問題だった。ましてや、植物防疫事業の全体の問題でもあった。「ゼロリスク」は成立するのか。少なくともK社や漁業組合を「人身御供」にしてはならない。
 特許問題においては、農薬の構造的な登録制度に暗雲を投げかけ、かつ警鐘を鳴らしている。この問題には「真の支配力が必要」(業界首脳)との意見もある。WTO(世界貿易機関)への加盟・達成などを絡めながら、当該国には世界に通用する判断を鮮明・実現化していただきたい。

(2007.7.17)


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