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「実歩留り向上、並びに食味向上システム」を開発
《東洋精米機製作所》



テスター精米機と計量器で実歩留りを測定
テスター精米機と計量器で
実歩留りを測定
 (株)東洋精米機製作所(本社:和歌山市・雑賀慶二社長)では、このほど「実歩留り向上、並びに食味向上システム」を開発し、1月31日、東京・銀座の東洋精米機ビルにおいて、発表説明会を開催した。
 このシステムは、文字通り、精米工場における実歩留りが向上し、食味も向上するというシステム。ただし実歩留りという用語、その実態は、米穀業界でもあまり知られていない。
 「実歩留り」とは、原料玄米を、精米した直後に計量したものに比べ、時間経過後に計量すると減量することを指している。この現象を具体的に認知してもらうため、同社ではシステム発表説明会場で、テスター精米機を使用して、実証試験を行った。
 テスター精米機で玄米250gを精米すると、搗精直後の重量は224.4gだったものが、9分後の計量では223gくらいに減量する。つまり1kgで5.6gの減となり、1tでは5.6kg、1000tで5.6t、年間1万tを処理する精米工場では、56tのロスとなる。このロスをなくし「実歩留り」を向上させることは、「精米工場の経営においては重要な意味がある」、と同社は説明する。
 食味向上を図るシステムでは、「水浸割粒」の防止も含まれている。現在の、国の品位基準にはないが、「水浸割粒」(水に約20分漬けると割粒する米粒)の多い米は、極めて不味いご飯となることから、近年では品質基準の条件に加える需用者もいる。説明会場でも、水浸割粒の多い米と少ない米を炊飯し、両方を試食してみたが、食味の差は歴然だった。
 水浸割粒の発生原因の大半は精米工場にある。これまで大気が異常乾燥した時に処理された米は、水浸割粒の発生率が高くなることは知られていたが、それ以外は判明していない。
 また大気乾燥の対策も、現実的には、精米工場内を平均的な湿度まで加湿することは、極めて困難である。
 米は、水浸割粒の混入率や、風味の減損率の少ない方が食味が良い。これらの率が高いほど、米が乾燥している確率が高く、そうした状態では米本来の重量が減少するため歩留率の低下を招くだけでなく、砕粒の発生率も高くなり、実歩留りの低下につながる。
 同社では、こうした状況を踏まえ、精米工場での実歩留り向上、並びに食味向上を図るシステムを開発したものだ。このシステムは、既に同社のBG無洗米工場で稼働しており、実際の効果や安全運転も確認されている。
水浸割粒(左)と正常米
水浸割粒(左)と正常米
 このシステムは単体の機械装置ではないと思われ、外観や図面も公表されなかった。また、導入・設置を希望する精米工場の、規模や環境条件により価格が異なるため、価格等は公表されていない。
 発売に関しては、既にBG無洗米加工装置を導入しているユーザーを優先し、対応していくとしている。
「実歩留り向上、並びに食味向上システム」に関する問い合わせは、下記まで。
(株)東洋精米機製作所 広報室 TEL:073-471-3011(担当:関)

(2008.2.8)



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