農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム ―― ひとこと
農協の防衛策はあるのか?ライブドアにひとこと

 春と共にプロ野球が開幕した。「改革元年」を象徴する新球団楽天ゴールデンイーグルスが緒戦を白星で飾った。まずはめでたしと思ったら2試合目で馬脚を現し、26対0で負けた。楽天球団は近鉄をはみ出した選手と他球団の寄せ集めである。オープン戦では12球団中9位だった。選手も監督も新しい働き場所とチャンスを与えられ奮起するだろう。巨人一辺倒人気から誰でも楽しめる庶民のプロ野球の方向が見えて来た。ペナントレースでも高額選手のいるチームを胸のすくようにやっつけてもらいたい。
 戦後60年が過ぎ、これまでの権威や既得権が崩れかけている。巨人のオーナーも辞めたし西武のカリスマ経営者も証券法違反で検察に逮捕され経営トップの威厳は落ちている。フジテレビが32歳のライブドアの社長に親会社ニッポン放送株の過半数を買い占められ、防戦に追われている。ライブドアは裁判でフジに勝った。しかし、まだ勝者ではない。そこがスポーツと違い欲と金が絡んだどろどろした人間社会。目的としていたフジサンケイグループ支配にははるか遠い。
 ライブドアより先輩格、悪知恵もありそうなソフトバンク・インベストメント投資会社が仲介役か白馬の騎士になろうとしている。6月の株主総会の前にニッポン放送の所有するフジテレビ株は貸し株とし、稼ぎの良いスフト子会社ポニーキャニオンも独立させる動きもある。タレントのニッポン放送への出演辞退が続出。どうやら乗取っては見たが、フジ側は中の財産を持ち逃げ空っぽにする作戦らしい。ライブドアは外資リーマンとの不利な条件のスキームで、膨大な借金を残し、敗者との見方もある。15万人のライブドア株主を巻き込んでの大勝負、将棋で言えばフジは「詰んでいる」と堀江社長は大言壮語したにもかかわらず、ライブドアの株価は公募の半分に値下がりしている。
 プロ野球では最初に手を上げたのにライブドアは落選、楽天が参入。フジ問題では途中手を上げたソフトバンク・インベストメントが漁夫の利を得る可能性もある。出る杭は打たれる。野球では、無駄なお金を使わず知名度が上がり、ライブドアは負けるが勝ちといわれた。12球団が残ったのもライブドアの功績。大衆の人気は圧倒的にライブドア。しかし、今度のフジ問題では、敵が多すぎる。既得権者の勢力はフジ側につく。ライブドアの肩をもてない空気がある。それでも堀江社長は生き残って欲しい。既成秩序を突き崩し、新しい芽を生む行動をしているから。
 農業では、農協の全国本部が既得権益を有する権力像に見立てられる。消費者寄りの立場を担保に、些細な事件を理由に行政から業務改善を迫られ右往左往している。資金豊富な企業や外資が日本農業と農協の資産や知的財産を狙っているかもしれない。本質的な危機である。資産防衛策は検討しているだろうか。用心するに越したことはない。(金右衛門)

(2005.4.8)

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