農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム ―― ひとこと
 

郵政民営化、その後にひとこと

 「倒壊の恐れあり」という耐震診断結果の通知を受けたので、古い木造のマイホームを耐震目的でリフォームすることにした。
 金策のため郵便局の定額貯金を解約して普通預金通帳に移し、何時でも工務店の請求書が来たら支払えるようにするつもりで、近くの郵便局に行った。窓口の女性に趣旨を話すと、「できません」という。郵便局では1000万円を超える預金は受け付けません。まず、あなたの定額預金には利子が発生しています、その利子1万円余を払い出して、手持ちの普通預金通帳も残高ゼロになる手続きをしてください、その上で、定額預金証書の解約手続きになりますという。
 しかし、この地域には代々土地持ちなど郵便局を利用している裕福な預金者が他に沢山いるはずだ、その預金者たちには黙っているのですか、とやっかみ半分に議論してみた。確かに、1000万円を超える預金者は大勢います、その人たちには、国債を買うよう進めていますという。
 ここでムッと怒りがこみ上げてきた。郵便局には国民のお金が集まりすぎる。官業が民業を圧迫しているとは前から言われていたこと。しかし、庶民が働いて郵便局にお金をあずけて、政府がその元本を保証するシステムが何故そんなに悪いのか。財政投融資でそのお金を無駄な公共事業に乱費したのは政と官ではないのか、預金者に責任はないはずだ。
 個人が低金利を嫌い、リスクの伴う株式や投資信託、国債などを購入している現象が出て来たというのは経済評論家の言う言葉だが、国民の気持ちに正確ではない。国民は金利の高低差よりも安心を求めている。1000万円以上の預金者は郵便局の勧めだから仕方なく、かつ郵便局を信用して、国債を買ったり、外債をかったりするので海外に日本円が流出しているのだ。ここ数年は、値上がりして個人投資家は潤っているように見える。しかし、たまたま幸運に恵まれた時期に当たったのであり、コンピューターに貯まるだけで、有効にお金が使われていない。国民の金融資産がリスクマネー化している。国債相場が下落した時、「自己責任」を容認できる個人投資家は其の内何人いるだろうか。
 リフォーム工務店の銀行口座に振り込むことも、郵便局と提携してない銀行にはできないという。しぶしぶ、現金にして今まで持った事のないような大金をポケットにしまい込み銀行へ足をはこんだ。そこでも、本人の証明がないとATMではむろんだめ、窓口でも10万円以上の送金はできませんと待たされる。振り込みサギの社会現象から善良な個人にまで疑いの目を向ける不自由な世相だ。
 郵政民営化は、日本国民の郵便貯金をあぶり出そうとするアメリカの金融政策にまんまと引っかかったのか、それとも銀行による郵便局いじめだろうか?(金右衛門)

(2007.3.29)

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