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コラム
反射鏡

外部の批判も聞くべきは聞き、活動の前進を

 10月19日号の週刊ダイヤモンド誌に執筆記者名入りで、“知られざる農協組織の暗部、「共済事業」の呆れた実態”なる記事が特別レポートとして掲載された。サブタイトルは“蔓延する不正契約、問題農協を救う資金補助の仕組み“となっており、大げさな見出しが通り相場の週刊誌としても、人目を引く表現である。週刊ダイヤモンドといえば、最近は駅売りを始めるなど大衆化を進めている。加えて内容の充実度を高め、週刊エコノミスト、週刊東洋経済の2誌を名実ともに凌駕しつつあるとも聞く。かなり広範な浸透力をもっていると断じて間違いはあるまい。
 さて検討にすべきは記載記事の内容である。先ず、香川県下の農協の架空共済契約を例にあげ、その要因はノルマ推進にありとしている。次に経済事業の慢性赤字から農協経営は危機に瀕し、それを共済事業の付加収入(手数料)が補い助けていると、農協の部門別純損益の推移表を掲げ、説明している。最後に、このような状況を許しているのは、内・外部監査機能の弱さも一因と結論し、記事を結んでいる。
 さわりの部分を、記事の中から1個所に限定して、そのまま引用することとする。
 “JA共済連は、本来であれば共済契約者に還元されるべき超過利潤を農協に渡し、農協はそのカネで慢性赤字を補っているのも同然なのである。
 なんのことはない。構造的な経営不振に陥っている農協組織を支えているのは、ノルマに追われている現場職員であり、掛金の一部を知らぬ間に農協赤字補填のために使われている共済契約者なのだ。こうした実態を情報開示しないJAグループの罪は軽くない“
 紹介している数字の正確性はチェックしていないし、香川県下の動きも実態を把握しているわけではないが、大枠の問題提起はまさに正鵠を得ていると思う。むしろ素直な常識的な課題指摘であり、農協経営の根本問題を突いていると考えるべきであろう。
 組合員の信を得た活動体に復するためには、先ずは構造的になってしまった共済事業依存傾向の経営は改めるべく、各事業のあり方を基本的に見直すことである。特に経済事業については、その抜本的改革が指摘されてから幾星霜ぞと言いたくなる。
 一方、共済事業についても、その付加収入のうち一定部分は、当然のこととして総合収支に寄与せねばならない。その額については事業主体たる農協が決定すべきであるが、JA共済連としても数理的な裏付けをした参考指標を示さねばなるまい。
 主役はあくまでも共済契約者である。総合収支への寄与のありかたも、契約者の理解と納得を得た上のものであるべきは理の当然である。この場合、抽象的な助け合い精神ではなく、生・簡保等との比較をも含め、具体的な数的論拠にもとづく説明が不可欠であろう。契約者本位の情報開示が強く望まれるところである。
 今回提起された課題は、あくまでも農協経営のあり方そのものの問題で、農協共済事業の推進や付加掛金のあり方に矮小化されてはならない。農協中央組織の今後の対応を注目していきたい。また、ダイヤモンド誌は記者名まで付した報道である。ただ黙殺していいものなのか疑問でもある。(藤塚 捨雄)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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