農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
反射鏡

農協共済に望む、さらなる前進を

◆週刊東洋経済の共済特集にふれて

 経済週刊誌「東洋経済」の2月7日号に、“知られざる共済”のタイトルで、共済事業の特集がくまれた。共済ブームと言われている中で、無認可共済、なかでも急成長を遂げている「エキスパート共済会」の動きを紹介している。一方、認可共済についても、埼玉県下で生命保険を圧する活動を見せている「埼玉県民共済」にも紙面を大きくさいている。
 農協共済はこくみん共済・県民共済・CO―OP共済とともに4大共済として取り扱われ、並び大名的に紹介されている。一頭地、抜きんでた事業量に応じた扱いを特には受けていない。それでよいと思う。もはや量を基準とする時代ではなかろう。東洋経済の見識に敬意を表したい。
 バブル崩壊後の生・損保業界の再編と低迷にあえぐなかで、共済に静かなるブームが生じているのは既成の保険・共済制度への批判でもあろう。その批判の解明が本稿の主旨ではないが、農協共済がどの範疇に入るか、生・損保に類する既成共済と見るべきか否か、思いのほか評価が分かれるところではなかろうか。

◆共済事業の続出もよかるべし

 皆さんもご記憶のことと思うが、かつてオレンジ共済なるものが一族の放漫経営で、加入者が多大な損害を蒙り社会問題化したことがあった。かような問題を起こすだけに共済の野放しはいかがかとの意見は多い。規制すべきとの声が高まるのも理解できないわけではないが、小生、基本的には規制には反対である。いろんな相互扶助を高める共済制度が草の根主義で続出してもいいのではなかろうか。多様な共済の続出があってこそ、農協の共済も組合員との密着度の高い加入者本位の共済として成長していくこととなろう。
 各種共済の続出はマルチ商法的に悪用される危険性もあるが…。問題は利用者・加入者がもっと自主的に制度内容について、勉強することではなかろうか。また利用者の相談に対応する公的あるいはボランティア組織の充実こそ望まれるところである。

◆農協共済に望むもの

 東洋経済誌の特集における農協共済の取り扱いについて、先ほどは奇麗事を述べたが、率直に言って胸中は複雑である。やはり特別扱いをして欲しい。農協共済こそ、組合員本位の共済との評価を得たいものである。
 そこで従来からの持論を再提起しておきたい。事業実績を示すにあたって契約高中心主義をやめることである。どれだけの共済金を契約者に支払ったかが、実現された保障として、表示されるべきではなかろうか。組合員にとって新契約○○、保有契約○○と言われても実感が湧くまい。それはあくまでも単なる事業者側の数字でしか過ぎないからである。共済加入者にとっては、どれだけの共済金を受け取り、急場をしのぐことができたかが最大関心事なのである。このことを忘れてはならないと思う。
 経済事業の場合、実際に動いた物量が実績として表示されよう。信用事業も基本的には然りである。一般経済界においても同様である。なぜか、保険・共済界においては、未実現の保障量が事業実績のように表示され、事業量を表す第1指標として扱われている。保険・共済が利用者視点からみて、遅れた業界と言われる所以はここにもあろう。農協共済が業界の先頭を切って、支払い実績をして第1指標とできぬものか。しこうして、特集記事の冒頭に、組合員本位の共済として大書されんことを切望するものである。(藤塚捨雄) (2004.2.24)

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