農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
反射鏡

米大統領選をみて
―選挙後の投票分析こそ必要なのでは―


 米国の次期大統領は大接戦の結果ブッシュ現大統領が再選され、その後、早1カ月余が経過した。選挙に至るまでの加熱したあのマスコミの報道ぶり。再選決定後は、直後の新聞報道のほかは、打って変わって対照的な沈静化である。インターネット情報では、またしても不正とか選挙制度の不備が線香花火のようには散発したものの…。それにしても、総じてあまりにもあっけない我が国での、報道合戦の幕切れだった。

◆期待はずれの選挙結果の分析

 なにしろイラク侵略の最中、米国を二分したと伝えられる激戦の国政選挙である。さぞかし時間をかけて、投票結果の詳細・綿密な分析がなされているのであろうと考えていた。そこで、12月上旬に相次いで発行される総合雑誌1月号を、その分析結果如何と、てぐすねひいて待っていた次第である。
 ところが、発行部数の少ない「論座」(朝日新聞社)のみが約80ページを割いて、特集を組んだだけで、他誌は期待はずれの軽い扱いである。選挙結果そのものを扱ったのは「世界」と「諸君」でそれぞれ2編、「正論」・「中央公論」・「Voice」では各1編に過ぎない。そのうえ、いずれもメイン記事とは程遠い扱いである。新聞広告で見る限りでは、「文藝春秋」などでは取り上げてすらいないようである。コト終われば用なしとの観すら感じる。総合誌のありかたというか、評論とは何かを考えさせられる動きである。

◆米国を知る最前の手立ては選挙結果の分析

 選挙前の米国では、特定の新聞・テレビを除き大半のマスコミは、ケリー支持を打ち出し、世論調査は紆余曲折しながらもほぼ互角に推移した。小生はケリーの勝利を期待していたのだが…。
 泥沼化するイラク戦争、巨額の財政赤字などを抱えての僅少差のブッシュ再選だけに、その結果の原因分析こそ最も重要なのではなかろうか。ところが、先にあげたような総合雑誌の対応である。われわれはどのようにして、この強大国の正しい実態を掴み取ればいいのだろうか。そして我が国と世界の平和を守るために最前の対米関係をどう構築するのか。もっと突っ込んだ分析された情報が欲しいものである。ただいたずらに好戦国家・保守化傾斜の米国、批判力を失った米国民と蔑んでいていいのだろうか。

◆参考になる中岡氏のレポート

 「諸君」に掲載の新進ジャーナリスト中岡望氏の“オハイオ州はなぜ、それでもブッシュを選んだか”は今度の選挙というか、米国の動きを知るのに大いに参考となる。オハイオ州ならびに全国での出口調査も踏まえた投票分析を通して、今度の選挙の特徴と米国の動向を浮き彫りにしている。イラク戦争と経済問題を超える関心事として、同姓婚・妊娠中絶などの道徳的価値観が選挙の大きな争点になっていることである。当然この問題は宗教問題とも関連してくるわけである。
 このことを軸に性・人種・宗派別の分析も行っている。こういった分析があって初めて実態の動きを知る手がかりとなるのではなかろうか。各誌とも競って、この程度の分析を報道する責任があるのではなかろうか。(藤塚捨雄)

(2005.1.11)

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