農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
反射鏡

時代の動きに遅れぬ努力を
―代表企業の栄枯盛衰に他山の石を―

◆変貌激しい経済界

 昨年からこの方、ご存じのように世の中あちこちで、ガラガラの変化の連続である。流通業界のかつての覇王ダイエーも丸紅等の支援を得て食品中心に再生への道にチャレンジ。カリスマ的な経営者ともてはやされた西武王国の堤前会長も市場無視の責めを受け、今では拘置所で取り調べの日々である。堤商店たる西武グループは再編成された後、復活が可能なのか。驚くべきは社外取締役によって出井体制が刷新された世界のソニー。かつての日本国フラッグカンパニーとしての威光を取り戻せるかどうか。
 政財界巻き込んで、ライブドア対フジテレビのニッポン放送株争奪戦。一人の若者に、老練経営グループが引っ掻き回されている感じである。小生、司法を含む今次の戦いで何れかが勝つかには、さほどの関心はない。ただ、はっきりと言えることは、テレビなど旧来のメディアの領域を死守していてはその前提は暗いということであろう。放送の公共性を云々するフジテレビ側を見ていて、やり切れないのはその古さである。相次いだ日経の鶴田、NHKの海老沢両会長や読売を拠点とした巨人軍の渡辺オーナーの退陣。最後の護送船団グループと言われる旧メディア業界、まさにその業界のたそがれを象徴しているのではなかろうか。
 
◆食品の安全へ一段の努力を

 小生も彼等よりは若いが、博物館等の入場無料世代に入ってしまった。彼等のように世の変化・進歩に遅れてはならじと、協同組合懇話会の第25回総会(3月7日開催)の記念講演を傾聴した。講師は食文化の権威で売れっ子の東京農大の小泉武夫教授。演題は「日本の食文化今昔」…食文化の伝統とその継承…である。21世紀は世界的な異常気象のなか、食糧輸入の困難化から始まり、誤った食生活から来る諸々の問題の紹介、さらには地域における食生活改善活動まで、内容豊かな熱演であった。参集者も熱心に聞き入っており、大成功であったと思う。
 端くれながら農業団体で人生の大半を過ごした小生、食の問題にはある程度通じているつもりであったが、教えられるところの多い講演であった。教授の多端にわたる情報と活動に感心しきりであったが、落ち着いて考えてみると、奇怪な事象のような気がしてきたのである。講演に集ったのは長年にわたり、農業団体等で直接・間接であるにせよ、食の生産・供給と関連してきた人達である。現役を退いたとはいえ、わが国においては最も食の安全問題に通じておらねばならぬメンバーであるはずである。いかに現在の第一線に立つ権威者とは言え、教授を講演者として招かねばならなかったのかどうか。逆に、講演者が現に活躍中の農業団体の若い仲間であったなら、さぞかし素晴らしいことであったと思うのである。それが可能であれば、全農の黒豚問題なぞも発生しなかったものをとも考えるのである。

◆全農の一層の改革努力を

 それにしても、2月25日に出された農水副大臣の全農会長への「全農改革の対応方向に関する申し入れ」の内容は厳しい。《全農に対する各方面からの批判》として「市場への感受性の欠如」「決議すれど実行せず」などを列挙している。十全の信を置き得ない行政に、ここまで指摘されるのは残念である。全農の奮起を切望したい。同時に冒頭にあげたダイエー・西武、メディア業界を他山の石として、農協組織が大きく脱皮してもらいたいものである。(藤塚捨雄)

(2005.3.18)

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