農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
JA共済 あれこれ

「SARS」にも災害給付特約が

 JA共済の生命総合共済には、「災害給付特約」という特約があります。この特約は被共済者の方が災害によって死亡されたり、所定の後遺傷害の状態になってしまった時に支払われる特約ですが、災害のほかに「特定感染症」によって死亡したり、第1級後遺傷害の状態になってしまった時にも支払われること、ご存知ですか。そのことは「ご契約のしおり」にも「約款」にもきちんと書いてあるのですが、この特約の名前が「災害給付」となっていますので、災害に遭った時というイメージが強いうえ、「特定感染症」とはどんな病気なのかがわかりにくいことから印象が薄いようです。
 「特定感染症」は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という長ったらしい名前の法律に定められています。具体的には「エボラ出血熱」「クリミヤ・コンゴ出血熱」「ペスト」「マールブルグ病」「ラッサ熱」、「急性灰白髄炎」「コレラ」「細菌性赤痢」「ジフテリア」「腸チフス」「パラチフス」「腸管出血性大腸菌感染症」の12種類の病気です。どんな病気か想像もつかないものや、最近では身近にはめったにない病気などもあります。こんな病気に罹るのは、まさに事故に遭ったようなもので、災害と同様に考えられるということなのかも知れません。
 この12種類の特定感染症に、今年の11月から「重症急性呼吸器症候群」通称SARSと「痘そう」つまり天然痘が新たに加わり、特定感染症はこれで14種類になりました。
 「SARS」はコロナウィルスを病原体とするまったく新種の感染症で、2日から1週間、長い場合は10日程度の潜伏期間の後、38度以上の高熱と咳息切れが特徴で風邪によく似た症状だそうです。治療法もこれといったものが無く、予防ワクチンも未開発のままです。幸いわが国では患者がでませんでしたが、昨年東南アジアを中心に大流行し、中国では観光客が激減し、経済にも大きな影響があったと聞きます。今年7月にWHOから終息宣言が出されたのですが、風邪の季節を迎えて再発が懸念され、厚生労働省でも対策に取り組んでいます。いやな話ですが、こうなると特定感染症も他人事ではないかも知れません。
 それから込み入った話になりますが、特定感染症についての取り扱いは、「全入院特約」にも関係しています。契約の際、医師の診査や面接士の面接を必要としない契約を「告知書扱い」と呼んでいますが、この場合、契約成立から1年以内に病気で入院をしたり手術を受けた場合、50%の削減払いとなります。でもその病気が特定感染症だった時は削減されません。また、もっとややこしくなるので詳しい説明は省きますが、同じく「全入院特約」の「特別条件付特則」を付加した場合も共済金の削減や不担保にはなりません。
 約款に定められた共済契約の中身は細かいことが多く、わかりにくい点も多々ありますが、それもなるべく加入頂いた方のためにお役に立てるためや、後々のトラブルを避けるためには仕方のない面があることをご理解ください。   (2003.11.27)

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