農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
JA共済 あれこれ

「ひと、いえ、くるま」の総合保障

 共済を分類する時、大きい分け方として生命共済、損害共済、第三分野という分け方が一般的です。生命共済は人の生と死を共済事故とする共済、損害共済とは建物や家財などに損害が生じた時、それをてん補する共済です。また第三分野とは生命共済でも損害共済でもない保障分野で、入院、通院、介護、後遺障害など、生死以外の人にかかるものです。
 JA共済では「ひと、いえ、くるま」の総合保障を掲げていますが、その中身はどんな共済になるのか、さらにそれらの共済はどの分類に属するのかについて簡単にご紹介します。それによって内容の理解が少しでも深まれば幸いです。
 
1.「ひと」の保障

 終身共済「愛のかたち」「ゆとりプラス」、養老生命共済、医療共済「べすとけあ」、こども共済「えがお」「にじ」、がん共済、定期生命共済、傷害共済、さらに年金共済「ライフロード」等、種類は多くあります。
 先の分類で言えば、生命共済と第三分野の共済です。終身共済、養老生命共済などは人の死を共済事故とするもの、年金共済は、人の生を共済事故とするものになります。医療共済や傷害共済、入院特約は第三分野の共済です。ただ、生命関係の共済ではこれらを組み合わせたものも多くなっています。
 「人の死を共済事故とか生を共済事故」というと何か奇異に思われるかもしれませんが、人の死を共済事故というのは、死んだ時に支払われる共済、つまり死亡したりした時に備えるためのもの。人の生を共済事故というのは、生きていれば支払われる共済であり、生きていくための費用を賄う共済ということです。

2.「いえ」の保障

 建物更生共済「むてき」「MY家財むてき」、火災共済、自動車共済の車両保障などがこれにあたります。住宅などの建物、そこに収容されている家財家具・営業用什器備品、自分の車などを対象とする共済ですが、先に説明した共済の分類でいう損害共済にあたります。財産などが災害により損害をこうむり、経済的損害が生じた場合に、それをてん補することで財産を保全するものです。
 損害共済の大きな特徴は「被共済利益」という考え方があることです。例えば自分の所有している住宅という財産が、火事で焼けて無くなってしまうと、その人には経済的損失が発生してしまいます。このような損害を受ける恐れのある利益のことを「被共済利益」といいます。「被共済利益なきところに共済なし」といわれ、損害共済では重要な概念です。甲という人が、乙という他人の所有する住宅を共済の目的に共済契約をした場合、その住宅に損害が生じても、甲にはなにも財産的損失は無いわけですから、共済契約の意味が無い、成立しないというわけです。
 それともう一つ、損害共済の場合は、その人が受けた財産的損害以上のてん補を受けることはできないということです。例えば、3000万円の価値がある住宅に、4000万円の契約をしていたとします。この場合住宅が全焼しても、住宅の価値3000万円以上は支払われません。全焼だからといって4000万円を支払うと、失った財産の額3000万円を超える1000万円は不当利得になってしまいます。簡単にいえば「焼け太りはダメ」ということです。これも「被共済利益」という概念からでてきています。なお、ここでいっている共済金には、臨時費用共済金、取り片付け費用共済金などの費用共済金は含まれていません。
 先に説明した生命共済ではこの「被共済利益」という概念はありません。建物の共済の場合、その建物の価値以上の共済金は支払われませんが、人の事故の場合、支払われる共済金は契約金額によって決まり、その人の価値と比べてどうこうということにはなりません。人の命に値段はつけられないからです。

3.「くるま」の保障

 自賠責共済、自動車共済「あんしんDX」「超安心パック」「大安心パック」がこれにあたります。保障内容は車両保障、対人賠償、対物賠償さらに特約で搭乗者傷害特約、人身傷害保障特約、車両諸費用保障特約などがあり、保障の範囲は広くなっていますが、自動車事故を起こしてしまったとき、相手方への賠償、車に乗っていた人への保障、自分の車の保障、その他の諸費用をてん補するための共済です。先の分類でいえば、損害共済の分野です。
 自動車関係の共済の大きな特徴は、賠償責任共済であるという点です。自動車をぶつけて人を死亡させたり、怪我をさせてしまった、あるいは相手の財産である住宅を壊してしまったりすれば、法律上の賠償責任を負うことになります。そこで、事故を起こした人は、自分の財産から支払うこととなりますが、誰もが賠償に応じるだけの財産を持っているとは限りませんから、共済に加入して備えることになります。
 賠償責任共済の場合も「被共済利益」が存在します。ただ、自動車共済の場合、てん補範囲は幅広くなっています。車両保障などは「いえ」の保障と同じ性質のものといえますし、搭乗者傷害などは生命共済の性格をもつています。 (2004.3.29)



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