農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
つくば山麓 野良だより

残したい!村の自然風景

 毎日ナスの収穫と手入れに追われているうちに、あっという間に8月を迎えてしまった。
 連休に植え付けられた稲苗は、ちょうど3カ月の月日を重ねて、たくましく生長し、出穂真っ盛り!どうかこの時期に台風の到来だけは避けて欲しいと願わずにはいられない。ちなみに昨年は8月までに台風の上陸が6回。過去最多の記録を更新している。
 ところで私事であるが、5月の田植え時期に転んで不覚にも肋骨を3本骨折してしまった。約2カ月間は本格的な農作業ができず、そのせいかすっかり身体のバランスを崩し、コラムのテーマは決めても文章を書くという気力が出ず、すっかり本紙にご迷惑をおかけしてしまった。この間、田んぼではマガモやキジの親子が、猫やカラスの襲撃にも負けず立派に成長し、一方羽化したばかりのアカトンボが何千匹も熱中症で死んでしまったり、またキャベツの大暴落等々、色んな悲喜こもごもの農村風景が展開されてきた。今回は時期が少しずれてしまったが、私たち生産者グループが、消費者の皆さんに品物と共に届けている「生産者だより」に妻が掲載した一文を紹介する。

「生産者だより」 野沢万代

 我が家の裏に出ると絹さや、スナックえんどう、いんげん、モロッコいんげんの畑です。背の高いアーチ状の支柱にネットを張って、豆のつるを絡ませます。特にモロッコいんげんは今が盛りとばかりに緑の葉を繁らせ、さながら緑のトンネルです。収穫はそのトンネルに入ってしまいます。どの豆もブラブラと下がって、収穫はとてもおもしろいのですが、単純に何千個と取る作業なので、夫や息子には人気がなくて私が中心に収穫作業をすることになります。根気よくとり続けるしかなく、肩が痛くなるし、腕も太くなります。(えっ! もともと太ってる!?)
 ところで絹さややスナックえんどうの花は、それはそれは可愛くてついつい立ち止まり、花見をしてしまいます。
 ♪〜 みどりのそよ風いい日だね ちょうちょもヒラヒラ豆の花 菜の花畑に妹のつまみ菜摘む手が可愛いな 〜♪
 小学校の時に習った歌が心の中に沸いてきて、決まってすぐ下の妹の幼い丸い顔が浮かぶのです。何とも懐かしい気分です。そして当時発売されたばかりのカッパえびせんを自分ひとりで一袋食べる(いつも妹たちと3人で分けていた)のがその頃の夢だったこともあわせて思い出し、ひとりで笑ってしまいます。だから私は、大変だと分かっていても毎年たくさんの豆類を作付けしてしまうのかな…。(6月3週号より)

 こんな農村風景や自然の恵みに感謝しつつ、しかし農業や農村がしっかりと生き残れるように地域の仲間と共に工夫を重ねていきたいと思う。(茨城県大和村在住 農業 野沢 博)

(2005.8.11)

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