農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
つくば山麓 野良だより

村の名が、消えゆく日!

 異常気象!なんと12月に入って観測史上初めてという台風並みの強風と、25度以上の高温に遭遇するとは。今年は例年になく暖かい日が続き、ようやく師走に本格的な冬を迎えようとしている。新潟中越地震や相次ぐ台風の被害にみまわれた地域の皆さんが、今どんな思いで、どのように過ごされておられるのか…一刻も早い復旧を願うばかりである。
 かつて、私の生まれ故郷の近く徳山村(岐阜県)はダム建設で沈み、その長い歴史に幕を閉じた。この度の中越地震の土砂災害・濁流による被害で、新潟県山古志村が少しづつ水没していく映像を見るたびにそのことを思い出し、悲しくなってくる。
 全国に魚沼産コシヒカリの名を轟かせてきた大産地も破壊的な被害を受けた。川口町にある水田は地割れし、畦は崩壊。30cmを越す段差や深い亀裂が広がっているという。小千谷市のある地区では来春の作付けについて話し合いが持たれ、「みんなでやっていこうや。ひとりでも欠けたら、むらは立ちゆかない」と、離農に傾いた農家を説得して、国の補助がなくても積雪前に重機を借りて着工することを決めた。今工事を始めなければ、半分の水田が放棄されるという危機感からだという。一方で、この機会に米づくりをやめる決心をした老夫婦もいる(一部、茨城新聞引用)。小さな棚田でコシヒカリを耕作してきた魚沼地域の農家の”悲痛な叫び”が聞こえてくる…。

◆山あいの村の挑戦!(高知県馬路村)

 〜以下、妻の  「野良日誌」より
 「今年の秋は強い霜が遅く、台風の影響や雨が多くて伸びられなかった白菜やネギなど、ここにきてだいぶ持ち直してきて、畑が青々としています。ほっとしたところです。
 この季節は私にとってゆずマーマレードやゆずみそ、ゆずこしょうなどの一年分の材料を確保するため、大忙しの時期です。4人のグループですが、ゆずの里〜大和村(来年10月合併して桜川市になる予定)の特産品を作るために活動しています。そしてこの忙しい時期に、四国、高知県のゆず加工品で有名な馬路(うまじ)村に研修に行って来ました。徳島県境の山また山、山林が96%という谷あいの小さな村が「ゆずといったら馬路村」といわれるほどのゆず製品を全国に送り出す村でした。昭和38年農協が中心になって、ゆず栽培を始めました。林業の衰退からますますゆずに力を入れ、加工を手がけ、試行錯誤、まさに山あり谷ありの活動を経て現在に到っていることを、搾汁工場や加工工場を見せていただきながら、丁寧に説明していただきました。関東平野の広々とした農地で、作りたいものは米でも野菜でも何でも作れる私たちの環境と全く違う所でこそ「ひとすじ」にゆずの道を追求し大成していく力、そこにしか生きる道がないと集中する力に感動しました。大和村でたった4人の母ちゃんが片手間に、夜なべでやっている加工だけど、馬路村の気合いをもらって、目を輝かせて、先を見ながら頑張っていきたいと思いました…!」
 我が大和村も、来年10月に合併し新市が誕生することになった。輸入野菜の急増や、メーカーが赤色発光ダイオードで3倍のスピードでできる野菜を開発する時代。日本農業や、これまで村で何とか自給自足のように暮らしてきた山間農業が、今新たな転機を迎えようとしている!(茨城県大和村在住 農業) (野沢 博)

(2004.12.16)


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