農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム 今村奈良臣の「地域農業活性化塾」

全国農産物直売ネットワークに結集しよう
―「直売塾」の発足―


 全国直売ネットワークが発足した。ネットワークとはどういうものか、設立のねらいはどこにあるのか、どういう活動をすべきか――こういうことを『ネットワークだより』創刊第1号に私が代表として書いたので、まずその全文を再掲させていただきたい。

◆主体的に勉強を

 「平成17年度にはじめて開催した『第1回全国直売サミット』には、東西2会場合計で約900名の参加があり、その熱意には心を打たれました。それぞれに個性に満ちた顔を持ち、立地も、規模も、売り上げも、そして構成員や運営方針などについても実に多彩でした。
 ところで、私はかねてより、『多様性の中にこそ真に強靱な活力は育まれる。画一化の中からは弱体性しか生まれてこない』と考えており、いろいろなところで説いてまいりました。この直売サミットに集まった全国の直売所はまさに多様性に満ちあふれていました。さらに、私は、重要なこととして『多様性を活かすのはネットワークである』と信じています。つまり、多様性と表現されるような個性をさらに伸ばしつつ、短所をあらため、欠陥を補い、新たな創造を目指すためには、多彩なノウハウ・技術・情報を自由かつ豊かに交換・交流できる全国ネットワークが必要不可欠だと考えました。
 そこで、この『全国農産物直売ネットワーク』を立ち上げることにしたわけです。ネットワークと言うと何となくなじみにくいというのであれば、『直売塾』と言い換えても良いでしょう。要するに直売所の発展、成長に向かって自らが勉強する場であるようにしたいと考えています。
 20数年前から私は全国各地で農民塾、むらづくり塾運動を進めてきました。この、まちむら交流きこうの前身である(財)21世紀村づくり塾を農民塾、村づくり塾のナショナルセンターとして立ち上げました。そういう意味では、歴史を脈々として引き継いでいるわけであり、『全国農産物直売ネットワーク』は、『直売塾』と言い換えることができると考えています。そういう歴史を踏まえてみると、このネットワークは、規模も、売り上げも、学歴も、経験も、年数も全く関係なく、全員フラットな組織として、会員全員が成長、発展に向かって自ら主体的に勉強していく場にしたいと考えています。
 さて、このネットワークの発足にあたり、私からいくつかの提案があります。
 第1は、直売所としての情報発信していくためにも、直売所に関わる方々は、全員素敵な名刺を持って下さいということです。代表、店長、生産部長、販売部長、企画部長などなど、皆さんの活動の情報発信の原点となるような美しい名刺を作っていただきたい。
 第2は、女性の皆さんの活躍の場を創り出し、新しいリーダーを次々と育てて下さい。活き活きとした女性のいる直売所は間違いなく発展してします。
 第3はピンピンコロリ路線を推進して下さい。私は、農村の高齢者を単なる高齢者と決して呼ばずに『高齢技能者』と呼んでいます。智恵、技能、技術は五体に刻み込まれています。この高齢技能者を福祉施設などに送り込まず、持てる技術を活かし、農産物生産に励んでもらいましょう。そして、生涯現役の生産者のまま大往生を遂げてもらえるようなシステムを直売所を核に作りましょう。
 この3つが私からの当面のお願いです。『全国農産物直売ネットワーク』の発足を機に、直売活動に関する皆様とともに全力を挙げて頑張る覚悟です。どうぞよろしくおねがいします」。
 少しばかり長くなったが、「ネットワーク」の発足にあたり代表としての私が述べたメッセージの全文である。
 さて、ネットワークの会則等については省略するが、事務局は、まちむら交流きこう((財)都市農山漁村交流活性化機構)に置き、役員は次のようになっている。

◆多彩な役員

 代表に私が推され、副代表に秋岡栄子(経済エッセイスト)、田中満((株)農村開発リサーチ代表)の両氏が就任され、理事には、青木公平(JA前橋市農産物直売所「産直ゆうあい館」産直部会長)、井ノ口ツヤ子(あんずの里市利用組合組合長、福岡県福津市)、加地唯男((有)ネットワーク平屋、店名「ふらっと美山」代表取締役、京都府南丹市)、窪隆之(旬菜市場ふくの里、会長、富山県南砺市)、染谷茂((株)アグリプラス、店名「かしわで」代表取締役、千葉県柏市)、田山雪江(陽気な母さんの店友の会、会長、秋田県大館市)、中野統夫(百姓一、会長、徳島県石井町)、日野昭男((財)都市農山漁村交流活性化機構、理事・事務局長)、また監事には、堀切真也(紫波ふる里センター組合長、岩手県紫波町)、吉岡一男(農事組合法人クラフト、代表理事、千葉県八千代市)の各氏が就任された。

◆8つの共有目標

 さらにネットワークは、8つの共有目標を決定して、農産物直売所らしさを追求することとしている。
 1.生産者自らが主体的に活動に関わります。
 2.地域の農業振興を目的とします。
 3.地域に伝わる食の伝統と味を守ります。
 4.地域農産物の販売を基本とします。
 5.安全で安心できる商品を販売します。
 6.健全な経営を心がけ、地域経済に貢献します。
 7.消費者に食と農の最新情報を届けます。
 8.子どもたちの食育・農育を担います。
 さらに、早速、第2回全国農産物直売サミットを開催することになった。東会場は平成18年11月20〜21日に群馬県前橋市の群馬県民会館において、西会場は平成19年1月18〜19日に高知市の高知県民会館(予定)で行われる。全国各地の直売所関係者に、是非ともネットワークへの加入とサミットへの参加をお願いしたい。申込みは、「まちむら交流きこう」まで。
 電話 03−3548−2712、FAX03−3276−6771
  Eメール chokubai@kouryu.or.jp
  ホームページ http://www.kouryu.or.jp/chokubai/index.html

全国農産物直売ネットワークに結集しよう
イラスト・種田英幸
 
(2006.10.25)


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