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コラム


 「北風と太陽」

 近くて遠い国、北朝鮮の金正日総書記が謎のベールを脱いだ。なぜ、共産主義国家の最高ポストが世襲なんだ。なぜ、日本に核弾道ミサイルを打ち込もうとするんだ。なぜ、日本人を拉致するんだ。不気味で暗い国。その国を率いる金総書記にいたっては、ボサボサ頭のダサイ人民服姿の独裁者、徳川家康が今の時代に北朝鮮に君臨しているイメージ。

 それが先日の南北朝鮮首脳会談で一新。あのパフォーマンスに金正日ショックを世界に与えた。いつもの人民服スタイル、にこやかな笑顔でタラップまで金大統領を出迎える。「世界が注目している。なぜ金大統領が訪朝したのか、私がなぜ受け入れたのか。3日の間に答えてあげなければなりません」「今回、金大統領がいらして、私はこれで隠とん生活から解放される」など、”話せる人””分かっている人”を楽々と演じる。

 もっと凄いのは韓国の金大中大統領。さすが40年間、軍事政権下で迫害を受けながらも信念を曲げなかった勇気と胆力の人だ。「10歳以上年上の老人の私がこうやって来たのだから、あなたもソウルに来なければいけないでしょう」、金総書記の訪韓を決意させたことばが実に良い。老人、礼節を敬う同民族の心にこれほど響くことばはないだろう。金大統領が北朝鮮にとっている政策は「太陽政策」といわれる。イソップ物語にある「北風と太陽」の寓話のように、北を改革・解放に向かわせるには、北風のような対決よりも、太陽のごとき融和を図るべきだという考え。今回、これがみごとに功を奏した。

 さらに、「これから戦争はない。世界が我々の市場だ」という帰国声明は21世紀の道筋を凛と示し、われわれの胸を射つ。

 アメリカは北朝鮮にさっそく60万トンの食料援助を決めた。わが国は総選挙でそれどころじゃない? お米を飼料用に回すぐらいならそっくり援助しては・・・。   (だだっ児)



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