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コラム


パラサイト・シングル

 巨人軍はようやく貯金10の壁を突破し、独走態勢に入った。長嶋監督の日課は多摩川川べりの散歩。その河川敷で少年野球を指導する知人から子どもの数が全盛期の半分近くに減ったという話を聞いて、「少子化は大問題です」と嘆いたという新聞記事を目にした。

 女性1人平均、生涯に産む子ども数を推計したものを「合計特殊出生率」といい、99年の人口動態統計によると、この数字が前年の1.38から1.34に急減し、過去最低を更新したという。高度成長期には2.2程度というから大変な減り方である。
 その原因は女性の晩婚・非婚傾向や出産年齢の高まりがあげられている。とくに、2000年に合わせて出産する「ミレニアムベビー」を親が期待したため、「生み控えた」という笑い話のような見方もあるが、もっと深い問題がある。

 成人した子ども(?)が親元に同居して、レジャーに旅行にブランドものにと、リッチな生活を謳歌する気ままな独身男女=パラサイト・シングルの存在。その数、男女合わせて1,000万人もいるのが、少子化問題の根底と指摘する人がいる。
 「パラサイト」、意味は「寄生」。昔でいう「居候」である。  彼らにとって、結婚はゆとりを失わせるイベントでしかなく、今の社会常識からすれば未婚の母になるにも勇気がいる。こうして子どもが少なくなれば、医療や年金など社会保障制度に深刻な影響を及ぼすのはすぐ分かるが、経済にも大きな影を落とす。

 彼らが存在することによって、俗っぽくいえば、いつまで経っても、カマドが1つでしかない。親の家に同居すればアパートを借りる必要も、マンションを買う必要もない。ブランドものを買っても、冷蔵庫や鍋、釜を買う必要がない。お米も自分で買う必要がない。基礎的消費財の需要が伸びない。日本経済の不況の原因は意外にこんなところにあるのかも。

 おっと、この問題は他人事ではない。我が家にもパラサイト・シングルがいる。自戒。 (だだっ児)



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