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コラム


泥まみれの「スノーブランド」


 森首相以来、トップの資質が問われる事件が相次ぐ。食中毒事件を起こした雪印の石川社長。グループ全体で1兆8700億円の負債で事実上、倒産した「そごう」の水島前会長。一企業の借金を国民の税金で穴埋めしようというセンスには驚くが、デパートが潰れようがどうなろうが、直接にはわれわれには関係のない話。しかし、雪印は食品メーカーだけに農業関係者にとっては対岸の火事では済まされない。

 雪印の前身は「北海道製酪販売組合」。その創業者の一人、黒沢酉蔵は牛乳を取り扱うので、嗅覚、味覚の正確さを維持するため全従業員に禁酒禁煙を誓約させ、工場現場は衛生管理のため全員丸刈りにするほど、品質管理を徹底したという。

 雪印の「スノーブランド」が、乳製品のトップブランドになったのは、販売網の強さや新製品の開発だけではなく、品質管理を第一とする精神が、社員や酪農家、消費者に浸透し信頼されてきたためだと言われる。雪印が75年にわたり営々と築いてきた「スノーブランド」がたったの9日間で泥まみれになった。「築城3年落城1日」の残酷な現実。

 経営陣の危機管理能力の欠如、食品工場にあるまじき手抜きの実態は許される問題ではない。だが、われわれ消費者側には問題はなかったのだろうか。低脂肪だ,骨太だ、と企業の宣伝を単純に信じる誤った健康志向、雪印だから安全だという盲目的なブランド志向が招いた事件なのかも。今の世の中、企業まかせでは自分の健康は買えない。消費者自身が危機管理能力を備えなければ生きて行けない恐ろしい時代だと知るべし。

 もう一つの問題は、スーパーの過度の安売り。スーパーの「価格を下げろ、下げろ」攻勢で牛乳は水より安いとか。これではメーカーも食っていけない。勢い、製造工程を簡略化したり、手抜きに走ることになる。規制緩和かなにか知らないが、スーパーのバイイング・パワー(購買力)は凄まじい。メーカー泣かせ、いや、農家泣かせ。

 お米の値段がだんだん下がるのも彼らのせい? (だだっ児)



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