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コラム


なんとなくクリスタル

 『太陽の季節』の石原都知事につづいて、今度は『なんとなくクリスタル』文芸作家の田中康夫氏が長野県知事に当選。日本酒の樽酒ならず、「クリスタル」という名のシャンパンで乾杯とか。
 登庁の初っ端から名刺折り曲げ事件。長くつづいた保守県政側のショックの大きさを物語る。なにしろ、長野県は戦後、知事が民選になってからたった3人の知事しか生まれていない。しかも後の2人は共に副知事出身で、ともに20年づつ40年余りも官僚知事時代がつづいた。

 長野は冬季オリンピックに象徴される公共事業中心の「土木県」。その公共事業の予算ぶん取り合戦の先頭に立ったのが知事。いわば、長野県全体が1個の巨大な土建会社、県知事がその「社長」、県民が「社員」という構図と喝破するご仁もいるくらい。その付けが県全体で1兆6000億円、県民一人当たり70万円の借金を生んだ。

 もともと長野の精神風土は木曽義仲の昔から”反逆性”にみち、百姓一揆の多さは日本一、近代になってからは労働争議が激発したお国柄。戦後、長く眠っていたその反逆のマグマがついに火を噴いた。しかも、このマグマの火付け役が青年層でなくゴマ塩頭の中高年層と一般市民、言うならば現代のドンキホーテ。これもまたいい。
 田中康夫氏を担ぎ出した一人、県商工会議所連合会、仁科会頭は「ここで転換しなければチャンスを失ってしまう。価値の基準が物財から情報や知識、環境や心の豊かさに移る21世紀にはしなやかな発想と鋭い感性を持つ民間のリーダーが必要。そう思い、動いた」と。この選挙に、否、これからの日本の方向を示すのにこれ以上の言葉はいらない。

 この長野の知事選挙に戦後日本の縮図をみる。同じ名前の田中「土建屋」首相、角さんのもとで日本列島改造にひたすら走ってきた戦後。公共事業という名の戦後日本の”終焉”を長野が告げた。なにしろ、あのイットの森総理さえIT革命しか、21世紀の日本経済の再生はないと言っているのだから・・・。 (だだっ児)



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