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コラム


「米百俵の精神」

 日本は今も昔も「田んぼ」の国。5月の連休明け仙台に出張。2階建て新幹線の車窓から眺める満々と水の張った田んぼは絶景。途中、田植えの終わったばかりの田んぼに真っ青な麦畑(?)がつづき目を和ませる。
 今、国民の最大の興味は「大リーグでのイチローの活躍と小泉首相の国会答弁」とか。その小泉首相が所信表明演説で「米百俵の精神」を唱えた。「聖域なき構造改革」を断行するため今の痛みに耐えて、明日を良くしよう、と言う。
 「小説上杉鷹山」などで著名な作家童門冬二氏の作品に「小説河井継之助」がある。幕末、長岡藩で平藩士から上席家老へ異例の出世を遂げ、画期的な財政改革を断行し、蒼き龍と呼ばれた河井継之助の物語。その本のあとがきに、この「米百俵」のことが書かれている。それによると、「米百俵」は「路傍の石」や「真実一路」の山本有三の小説。
 長岡藩は戊辰戦争のとき、河井継之助の決断で官軍と抗戦したが敗れる。禄高は7万4千石から2万4千石に減らされ、藩士たちは窮乏に喘ぐ。その窮状をみかねた支藩三根山藩から支援米100俵が届くが、この頃長岡藩の大参事(旧家老)をしていた小林虎二郎は「みんなに分けてしまえば、一日分の食糧で終わってしまう。これを人材養成に使えば何万俵にもなって戻ってくる」と、藩士たちをを説得し、学校を設立したという話。
 近ごろ、レッサーパンダの帽子男の女子短大生刺殺事件やインターネットの「出会い系サイト」のメル友殺人事件など、理解しがたい事件が相次いでいる。また、「49才殺人検挙最多」のニュースも飛び込む。“17才”は言うに及ばず、日本人は今、老い(?)も、若きも心が荒んでいる。
 「米百俵」で創った学校から、山本五十六元帥など著名人を輩出している。米は田んぼからできる。学童は田んぼで泥だらけになり、疲れた大人たちは、週末や休暇に農村で過ごす。荒んだ心はほぐされる。田んぼは日本人とその心を育てる。田んぼ偉大だ!
     (だだっ児)



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