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コラム


今まで通りでいい

 日本農業新聞の「羅針盤」というコラム欄に、米卸業界の(株)神明・藤尾社長や藤井米穀店・藤井代表取締役の記事が時々載る。両氏とも長年、米業界に身を置いてきた人だけに、その炯眼は確か。
 先日も藤井氏が米の生産、販売は「今まで通りでいいの?」というタイトルで一文を寄せていた。“今まで通り5月の連休の前後に田植えをし、今まで通り生育させ、秋に取り入れ、出荷される”“業者は今まで通り仕入れして、今まで取り袋詰めして売る”
 “新潟・魚沼産「コシヒカリ」が、前回の入札で、60kg4万円を突破した。このことは今まで通りではない。それなのに、業者は“今まで通り”の商状のところが多い。新しい常識が必要なのに・・・と、いう趣旨。
 日本の小売業の「主役」がスーパーからコンビニに入れ替わった。2兆466億円。セブンイレブンの01年2月期の売上高。スーパーのダイエーを抜き、ほぼ30年ぶりの首位交代という。「だれが想像できたでしょうか」は、27年前に、セブン‐イレブンを創業した鈴木敏文会長(イトーヨーカ堂社長)の弁。
 セブン‐イレブン、その名のとおり開業当初は朝7時から夜11時までの営業。2年目から終日営業。終日営業は、今ではこと新しくもないコンビニの常識になっているが、当初は今まで通りを覆す新しい常識。それが今日の成功をもたらしたのはまちがいない。
 しかし、こうした新しい常識が求められるのは、川下の世界。川上は今まで通り、5月の連休に田植え、肥培管理、秋に取り入れ、JAに出荷する。川上が今まで通りだから、消費者はいつもお米が食べられ、セブン‐イレブンは主力商品の弁当やおにぎりを並べられる。
 川上は今まで通りで何の不都合もない、なにより自然界の循環は変えようもない。消費者・流通業者は果たして川上の“今まで通り”の価値を考えたことがあるのだろうか?
 農協人文化賞は今年で23回を数えるという。今後も今まで通り継続してもらいたい。受賞者のみなさんこれからも“今まで通り”ご活躍ください。(だだっ児)



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