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コラム


「試される大地」

 6月下旬、どんよりした東京の梅雨空を背に北海道に飛んだ。北の大地は梅雨とは無縁、抜けるような青空が待っていた。空気が澄んでいるせいか、大地がキラキラ輝いてまぶしい。
 北海道の人口572万人、札幌市180万人、次は旭川市で36万人。その北海道、最近、あまり明るい話題がない。北海道拓殖銀行(たくぎん)の破綻。有珠山の噴火。雪印の食中毒とつづく。ホッカイドウをもじってヤッカイドウと揶揄される始末。
 どっこい北海道は生きている。平成4年からはじまった「YOSAKOIソーラン祭り」が今年で10回目を数える。北大の学生の手で、高知の「よさこい祭り」北海道のソーラン節」を融合した祭り。200万人以上の観客を呼ぶという。
 もう一つはコンサドーレ札幌。今年J1に復帰したサッカーチーム。「道産子=ドサンコ」をひっくり返したチーム名。これにもう一つ北海道に明かりが灯った。札幌ドーム。大きさは東京ドームの1.4倍。圧巻は可変ピッチ。こけら落としの巨人・中日戦は人口芝。サッカーの試合はドームの隣から天然芝を移動させる世界初の設備とか。
 北海道庁は昨年から「試される大地」のキャッチフレーズで、北海道の活性化に力を入れている。試される大地?たくぎんがつぶれる、雪印食中毒事件と、信じられない事件が次々に起きる。「北海道は図体ばかり大きく、足をしっかり大地に着けた活動をしているのだろうか」という反省からこのキャッチフレーズが生まれたのだと思う。
 ところで北海道の農業は…「きらら」「星の夢」などに代表される北海道のコメは昔に比べると格段においしくなった。その自信のあらわれか、今、北海道産のコメを食べようという運動を展開し、その比率が6割を超えるまでになったという。
 この運動も「北海道はほんとうに日本の食糧基地と自負していいのか」「道民が食べないようなコメをつくっているようではダメだ」という反省からきているようだ。
 「試される北海道」、いや、この言葉はそっくり「試される日本」に置き換えるときかも知れない。    (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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