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コラム


真夏の勉強会

 7月に入ってから関東は雨らしい雨が降らない。30度を超す真夏日が連日つづく。猛暑をよそに、稲は田んぼの水の中でぐんぐん大きくなっている。一度、この欄で紹介した合鴨栽培の田んぼは、稲も合鴨もはちきれんばかり。
 どんどん成長する稲をよそ目に、JAグループはこの夏勉強に余念がない。今年から農産物、米や麦などの検査が一部民営化するからだ。今まで何十年もの間、米麦などの検査は公務員である全国各地の食糧事務所の検査官が行ってきた。いわゆる国営検査。
 農家のつくった米麦は個人で乾燥、調製して30キロ入りの紙袋(一部では60キロ入りの麻袋詰めもある)に詰めて、検査場所まで運んで検査を受けるケース。もう1つはJA等で所有するカントリーエレベーター(CE)やライスセンター(RC)に、農家や営農集団が乾燥、調製、検査まで委託する場合と2通りある。
 検査の民営化にあたっては、後者の施設ものから行なうところが多い。固定となっていた検査の場合は農家個々がつくったものなので、品質のばらつきがあり、判定が非常にむずかしいという理由。それに個体検査の場合は、ふつう農家の立会いが必要だが、肥料を買ってもらったり、共済・貯金のお客さんの目の前ではやりづらい、という意識が働くようだ。
 したがって、検査の民営化はCEやRCの施設ものからということになるが、RCはともかくCEはまたやっかい。CEは年々増えて、全国に750施設ほどある。CEに持ち込まれる籾(米)は収穫直後のため水分が高い。施設で10%ぐらい水分を飛ばし、検査規格の15%まで仕上げる。持ち込まれたときは水分が高いだけに、処理を誤ると米が変質する危険もつきまとう。
 施設の運転は専属のオペレーターが行なうが、4、5年も経験すると米の目利きになり、今度の検査員になるケースも多いようだ。一人で二足のわらじを履くわけだ。
 検査は生産者と消費者の信頼を得る公正さが第一。その検査の前に、CEで米をダメにしては何にもならない。さあ、勉強、勉強。(だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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