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コラム


8月15日

 今年の夏は「北冷西暑」とか。確かにここ2、3年異常に暑かった北海道も「えぞ梅雨」がぶり返しているようだ。8月はじめに訪れた岩手・花巻も、夜は寒いくらいだった。
 そんな中、ことしも終戦記念日8月15日を迎えた。ことしは小泉首相の靖国神社参拝問題が連日世の中を騒がせた。それに、「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史教科書の問題が重なる。この2つの問題は根っ子は同じ。ともに太平洋戦争(「つくる会」では大東亜戦争とか)にかかわる。
 戦後56年。どんな出来事も60年の歳月を経ると歴史へと変わるといわれる。太平洋戦争も歴史として語られる時代になりつつある。日本の人口の7割は戦後生まれだそうだ。小泉首相は戦後生まれではないが、戦争体験の無い世代だ。そんな首相が、国内外に物議を醸す「靖国神社参拝」に何故こだわるのだろう。
 「A級戦犯がまつられている」「憲法の政教分離規定に抵触する」が反対論。中国や韓国の猛烈な抗議は、靖国神社に戦争責任者であるA級戦犯が合祀されているからだ。
 一方、東京裁判でA級戦犯はすでに刑を終え、死刑にもされている。それは中国を含めた連合国が求めた罰であり、法的にはそれで完結している。憲法違反云々についても、小泉首相個人の行為であり、国家の宗教活動にはあたらないなど、世論は真二つ。
 沖縄の「平和の礎」で、沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」は6月23日、広島の平和記念日は8月6日、長崎の平和記念式典は8月9日、そして8月15日は全国戦没者追悼式とつづく。夏の甲子園野球大会では、8月15日正午、全員が黙祷する。
 戦後が終わり、昭和が終わり、冷戦が終わり、20世紀が終わり、戦争も歴史になろうとしている。が、これらの「慰霊の行事」がつづく限り、「こんな戦争を2度と起こしてはならない」と子孫代々語りつがれることだろう。
 でも、靖国問題などどうでもいい(不謹慎?)。小泉首相、「聖域なき構造改革」とやらで、われわれの生活は一体どうなるの。「青田刈り米百俵が泣いている」(8月12日付、朝日川柳)。  (だだっ児)


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