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コラム


山に登る理由 (わけ)

 「ああ、心が洗われる」。今秋、快晴のなか、2145メートルの新潟・苗場山の頂上にたったときの仲間の感想。4、5年前から、年に2〜3回、いつも決まったメンバー6人で山を登る。都合よく(?)男女3人づつだが、平均年齢60歳(?)。今ブームの中高年登山の端くれである。
 1990年代に入ってから、中高年を中心とした登山ブームが起きていると言われている。このブームはバブルがはじけて経済が不調になり、金回りが悪くなって、ゴルフなどのぜいたくなレジャーから、登山やキャンプ、ハイキングなどの金のかからない野外活動が見直されたのが理由らしい。
 もう1つは、日常生活のストレスの解消や気分転換のために山に登っている人が多いともいわれる。この理由の方がうなずける。「君はなぜエベェレストに登るのか」と問われて「そこにあるからさ」と答えたイギリスの有名な登山家のエピソードはともかく、天候に恵まれると、山は文句なしにいい。まさに、「心が洗われる」の心境になる。
 山登りの楽しみをもっと良くするには、写真とか絵を描くなどの趣味をもつこと。われわれの仲間は山登りとともにスケッチや水彩・油絵などの制作日を必ず入れる。たぶん、月曜日から週末まで仕事に追いまくられ、休日、家で骨休みの傍ら近所の風景や庭の花を描いたところで、今ひとつ感動が涌かない。
 そこで、たまに山行きとなるが、小泉武栄著の『日本の山はなぜ美しい』古今書院の如く、頂上からみる周囲の壮大な日本の山々には、例えようのない感動がわく。こんなわけで、カシニョール(仏の画家)のまねは止めて、私の絵の対象はしばらくの間は山になりそうである。
 11月26日から、恒例の「全農美術展」がはじまる。27回を数えるというから、息の長い美術展。しかし、ここも最近の登山と同じく若者が少なく、全農OBが目立つが個展やグループ展を開く実力者揃いのすばらしい絵が並ぶ。せっかくの機会、力作の‘山’の絵を飾らしてもらおう。こう、ご来場!      (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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