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コラム


「come on 嫁さん」

 「小米雪」(こごめゆき)。精米のときに細かく砕けた米のような雪のこと。図体の大きい組織にしては、ずいぶん小ぶりな全農カレンダー睦月・如月の季の詞(ときのことば)である。
 このカレンダーのおかげで、雪深い故郷・北海道を思いだしていたところ、ビッグニュースが飛び込んできた。「NHK青春メッセージ」で、北海道・深川農業高校3年の小池泰弘君がみごと大賞を受賞した。
 北海道に住む人々の母なる川、石狩川。それは、大雪山を源に上川、空知(そらち)の野をうるおし、北海道の米づくりに大きく貢献してきた。深川農業高校は、その空知の野の深川市にある。田園が地の果てまでつづくまったくの純農村地帯。
 小池君は、長靴を履き、麦わら帽子を肩にかけ、会場に響き渡る声で、「come on 嫁さん」と訴えた。「近所で、40歳くらいになる先輩にも嫁さんがいない」「花嫁問題や農村のさまざまな問題を解決するには、農村の良さを知ってもらう必要がある」「自分も両親も農業を愛している」と、柔和な笑顔で語る。(日本農業新聞「人・顔」)。
 わが国の食料自給率は、さきの「基本計画」で、2010年までに45%と数値目標が設定された。その「自給率」を高めるには、「自給力」を高めなくては始まらない。すなわち、「人」と「土地」の確保、なかんずく、農業の担い手、若者の存在である。
 折りから、武部農相は「むらづくり維新」を唱え、都市と「人・もの・情報」の循環が可能となる共通社会基盤を備えた新たなむらづくり構想を打ち出している。都会に住む人が農村に第2の故郷、第2の生活本拠地をもつように整備していくという。
 都会に住む人も、もともとは農村が故郷、生活にゆとりが持てれば田舎暮らしも結構な話だが、武部構想は、リタイア向け、都会人の発想。農業が儲かる、農業で食える農村にしなければ、若者も残らないし、花嫁さんも来ない。
18歳の若者に「come on 花嫁さん」と、2度と叫ばせてはならない。   (だだっ児)


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