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コラム


できる人ほど鬱になる


 夏の高校野球、甲子園大会が始まったが、地方予選のできごと。茨城大会の水戸商と常総学院の決勝戦をテレビで見る。序盤は6−1と常総学院が大苦戦。後半、“木内マジック”で試合をひっくり返す。木内監督「九分九厘負けた試合。私の中の歴史が変わった。今度ばかりは、子どもたちが私を甲子園に連れて行ってくれる」と、満面の笑み。木内幸男、71歳。日本一幸せな男に映る。
 いま、日本は「うつ社会」といわれる。不況は英語で『デプレッション』といい、心のうつ状態も同じ言葉を使うが、いまは、日本中がデプレッションだと、臨床心理学者の河合隼雄氏はいう。この状態を端的に表すのが自殺者の数。警察庁によると、自殺者は4年連続3万人を超えるという。毎年、どこかの町1つが消えてしまう勘定。
 自殺の動機の第1は「健康問題」、次いで「経済・生活問題」という。不況の最中、経済・生活問題は頷けるが、健康問題がトップとは?中身まで触れられていないが、「心の風邪」といわれる「うつ病」が多いにちがいない。かくいう筆者も、うつ病経験者。
 『週刊東洋経済』7/27号の特集は「できる人ほどうつになる」。以下の中からあなたが『そうだ!』と、思う項目に○をつけてください。□38度くらいの熱で仕事を休むことは、他人に迷惑をかけると思う □手抜きは嫌で、几帳面でコツコツ仕事をする性格だ □周りに気を使って、宴会などでは場を盛り上げるほうだ・・・と、6項目。そのうち、3つ以上当てはまれば“立派な”うつ病や過労死予備軍という。
 いまだに、3つどころか、全部当てはまる。三つ子の魂百までともいうが、持って生まれた性格は変わりようがない。いや、うつ病にかかる人はいい性格らしいから、変える必要もないのかも。焦らず、じっと「春」がくるのを待つことが、この病気の克服法。
 上司、仲間の支えで、やっと職場に復帰し、オーストラリア研修に行く機会にも恵まれた。クルージングのディナーショー。仲間におだてられ、坂本九の「上を向いて歩こう」を歌った。涙がとめどもなく流れる。「やっと治った」。
 人生、後半生の目標は、木内監督のあの絵も言われぬ“笑顔”。木内マジックの源泉はあの笑顔だろう。とんだ、告白、お許しください。  (だだっ児)


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