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コラム


JA上伊那の「売れるコメづくり」


 本紙7月30日号の梶井功氏(東京農工大名誉教授)と遠藤武彦農林水産副大臣の対談のなかで、副大臣が長野県のJA上伊那管内・宮田村の集落営農を褒めちぎっていた。
 昨年、全国農協カントリーエレベーター(CE)協議会主催のJA経営者セミナーで、JA上伊那の湯澤組合長が宮田村における自身の体験を、「我がJAのCE運営」と題して講演を行なった。CEは、収穫後の生籾を乾燥・調製・貯蔵する施設。施設の有効利用や荷受けの集中を避けるため、品種を早・中・晩生の組合せにするのが理想。
 このため、同JAでは、標高差により作付品種を指定。米代金は一番高く売れるコシヒカリから1俵、〇〇円をその生産農家から拠出してもらい、全品種でプール計算。コンバインも集落単位で共同利用。これにより、農家個々の機械投資も不用、施設への籾の計画的搬入も可能となり、事故も皆無。また、毎年、JAは集落の役員を連れて、販売先を訪問し、直に米の評価を聞き、品質の改善に取り組んでいる。
 また、このJAでは、生協など消費者との田植え・稲刈りの交流活動のなかで、「あの田んぼから刈った稲がこの施設に入り、ここから玄米になって出るんですよ」と、現場を見てもらい、納得してもらう、今でいう「トレーサビリティ」の実践を何年も前から行なっているという。じつに、上手にCEを使いこなしている。
 JAグループの米穀事業の柱は「委託販売」と「共同計算」、すなわち「系統共販」。それは、JAに米を保管するCEや農業倉庫があるからできること。CEは全国に約800施設、200万トンの籾を処理・保管できる。農業倉庫も全国に9千棟、700万トンの収容力をもつ。夏場はもちろん低温保管。
 知人が、これらの施設を見て、JAには、いわば「社会的インフラ」が整備されているんだと感心していたが、残念ながら、JAグループは、空気や水と同じように、在って当たりまえの認識のような気がする。これらの施設があるからこそ、農家はJAに委託販売ができ、消費者も安心して、安全な米を食べることができるのに。
 JAグループの米穀事業の展望は、JA上伊那をお手本に、案外、足元を見つめ直すことからきり開けるのかもしれない。(だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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