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コラム
 

フルハウス

 トランプゲームのポーカーで、スリーカードとワンペアの組合せをフルハウスという。JA全農の5支所、札幌―東京―名古屋―大阪―福岡の全てを勤務することを、ポーカーのこの役と同じ言葉を使うが、定年まで勤めても、達成はなかなか難しい。
 もう一つ、全農マンの夢(?)は、仕事で48経済連を廻る、少なくとも県庁所在地を全部訪れることがある。仕事でとなると、全支所勤務がないと、これもなかなか難事であるが、筆者は名古屋、東京支所勤務はないが、幸い達成している。
 全農は、この4月で33都府県連との統合が実現し、平成16年3月には5支所を廃止する方針とのこと。これに先駆けて、米穀事業部門は、5支所の米の集荷部門をこの8月からなくした。こうなると、フルハウスどころか、全国の県連・県本部を廻ることは、事実上できなくなる。
 県連と全農の統合がすすめば、全農支所は当然いらなくなるのだろうが、心配なことがある。それは、全農マンが現場からますます遠くなることである。全農マンは支所勤務時代に仕事を覚える。いや、酒を覚える。先輩に“1酒10茶”が仕事が上手く廻るコツと教えられる。たしかに、10回お茶を飲んだところで1回の酒にかなわない。酒を飲みかわし、相手を知って、はじめて仕事ができる、と、古い人間は頑なに信じている。
 インターネットでは、酒も飲めない。相手の性格も分からない。全農の方針も、現場を離れては魂の入ったものにならない。勤務先は:「大手町」、仕事は:「パソコン」。新進気鋭の若者が朝から晩まで、パソコンと睨めっこでは、成長しようにも成長できない。それこそ、鬱病患者の育成職場にしかならない。
 若者は、パソコンやEメールなんか止めて、即刻現場に出よう。コメが集まらなくちゃ、売り物がない。運ぶ物がない。1日全農ではなく、毎日全農。JAを廻り、集落を廻る。農家とJAと県連・県本部の仲間と酒を飲む。
 今はやりのトレサビリティ。何のことはない、要は生産者と消費者の顔の見える関係。その前に系統組織内のトレサビリティ、すなわち、組織内の顔の見える関係、全農のモットーとする『もっと近くに。』が、今まさに求められているのでは・・・・・。(だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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