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コラム

米政策改革は国の責任放棄

 犬の散歩コースに、アイガモ水稲栽培の田んぼがある。3反歩位の区画4枚のうちの1枚。田植えから3カ月、稲もアイガモも随分大きくなった。この田んぼは、他とは、緑の濃さが全然ちがう。ある日、アイガモ達に餌をやる光景にぶつかった。餌をやる奥さんに言わせると、好物はトマトとか。それに小麦とくず米を混ぜたものを与えるという。アイガモ栽培といっても、ただ田んぼにカモを放しておけばいいというわけじゃないんだと妙に感心。
 今年の梅雨は本格的だ。中休みもなく、「梅雨寒」の日が多い。とくに、北日本は、6月下旬からオホーツク海高気圧が居座り、低温続きらしい。我が家の家庭菜園は適度な雨があり、すこぶる好調だが、今年は米はとれるのだろうかと心配になる。
 この7月から食糧庁が廃止され、ただの1部に降格、全国の地方食糧事務所も、農政局傘下の地方農政事務所に衣替え。しかも、本省には、食品分野における消費者行政とリスク管理業務を担当する「消費・安全局」が新設され、地方農政事務所も現在の人員(9000人)の半分を食品のリスク管理や表示監視業務に当たるという。
 農水省が、なぜ、農政の軸足を「生産者から消費者に移す」のだろう?多分、食糧庁廃止にともなう余剰人員のリストラが、公務員であるが故に、できないからだろうと勘繰ったりする。おかげで?、とっくに、自己点検で改善済みの全農パールライス東日本の精米表示問題をしつこく追及する。1粒の他品種も混入してはならない(コンタミ問題)とか、DNA鑑定とか、米の世界に馬鹿げた話が多すぎる。
 食糧庁が廃止され、食糧法も改正された。改正食糧法は、国が米の需給責任を放棄したしろもの。生産調整は農業者・農業団体が主役でやりなさい。売れる米をつくりなさい(価格がいろいろになること)。全農の自主流通法人の看板ははずします。計画流通制度はなくし、流通は自由にします。
 誰が米の需給責任をとり、誰が米を集め、売るのか全然見えない。多分、米を自由市場経済に晒し、行き着くは、「米の先物取引市場」の開設というのがシナリオだろう。
 過日の日本農業新聞の「展望台」で、島本富夫さん(元農水省農業総合研究所長)が、株式会社の農地取得は、国の自殺行為と指摘されていたが、今回の一連の米政策の改革も、国の自殺行為だ。(だだっ児) (2003.7.24)

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