農業協同組合新聞 JACOM
 
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コラム

JA改革のねらい

 日本という国は不思議だ。自民党総裁選で小泉首相が圧勝。党幹事長には、若い安倍議員を抜擢。内閣改造も、更迭必至とみられた竹中金融・財政大臣を留任させ、世間をアッといわせる。途端に小泉首相の支持率が上がる。自民党をぶっ壊すのは良いとして、構造改革とやらで、国民、いや弱者いじめに血眼になっているのに…。
 小泉首相は、今度の衆議院選では、持論の郵政民営化をマニフェストに掲げるそうだ。郵政の民営化、門外漢で中身はよく分からないが、今、行政主導ですすめられている農協改革と根っこは同じように思う。郵政は郵便事業、郵便貯金、簡易保険が三本柱。何やら、経済事業、貯金、共済を柱にしているJAとよく似ている。
 しかも、郵政は郵便事業が赤字なら、JAも経済事業が赤字、ともに基幹となる事業が苦戦。そんな中、郵政民営化の狙いは何なのだろう。銀行と同じように、振込手数料をとり、簡保のおばちゃんに代わり、生保レディが無制限に庶民の懐をねらう。町や村から赤ポストが消え、コンビニに足を運べと言うのかも。一体誰のための民営化なの?
 一方、JA改革は、郵政の民営化より一足早くすすんでいる。一昨年来の「米政策改革」で、JAの経済事業の根幹を揺すぶり、返す刀で、武部前農相は「改革か、解体か」と農協攻撃、全農潰しにかかる。仕上げは「農協のあり方研究会」」でもっともらしい理屈をつけ、その実践をJAグループに迫る。この構図の背景は、いうまでもなく、資本の論理、株式会社万能論だ。農業で農協の一人勝ちは許せない。企業の農業参入を認めよ。株式会社に農地取得を認めよという、財界の圧力以外の何ものでもない。
 去る10月10日、第23回の全国農協大会が開かれた。「JA改革の断行」をスローガンに、「抜本的な経済事業の改革」が主要なテーマ。大会に、2年前「米百俵の精神」を説いた小泉首相が飛び入り、森山良子と「ふるさと」まで歌うパフォーマンスぶり。このまま小泉流のパフォーマンスに乗ったら、誰かの言葉ではないが「将来に禍根を残す」こと間違いない。農協の精神は『自治と自立』、どんなに構造改革がすすめられようとも、これだけは断じて譲れない。

(だだっ児)(2003.10.23)

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