農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム

“欽ちゃん球団”

 茨城県は、関東ではなく東北地方と思っている人が世の中にはいるそうだ(青木智也著「いばらぎじゃなくていばらき」より)。その茨城県が誇る(?)大湖・霞ヶ浦のほとりに「桜川村」というのがある。この人口7千人余りの小さな村に、タレントの萩本欽一さんが監督を務める社会人野球チーム「ゴールデンゴールズ」がホームグランドを置く。
 「僕の描いていた絵がそのまま。畑、畑、畑」。欽ちゃんの村の印象。村には不釣合いに思える(失礼)ナイター設備の整った、両翼96メートル、中堅120メートル、外野は天然芝の立派な球場がある。監督はチーム運営で様々なアイデアを挙げるが、その一つが「野球と農業の両立」というからユニーク。村には約100ヘクタールの蓮田があるそうだ。選手がトレーニングを兼ねて腰まで蓮田に浸かって農作業をし、球場で村名物「浮島レンコン」を売る光景が見られるかもしれない。
 欽ちゃんの球団結成は昨年のプロ野球界の再編騒動がきっかけとか。楽天が仙台に「楽天イーグルス」を、ダイエーがソフトバンクに球団譲渡と、花形産業のIT企業が球団運営に乗り出してきたが、社会人野球とはいえ、“欽ちゃん球団”はそれに対抗する手づくり球団、ぜひ応援したいものだ。
 さて、小泉首相は今国会の施政方針演説で、企業の農業経営参入や農産物の輸出増加など「攻めの農政」への転換を強調。先には自民党の有志議員でつくる農産物等輸出促進議員連盟が中国の米輸出解禁をめざして日本米の試食会を中国で開いたり、海外に輸出した数量を消費純増分として生産目標数量に上積みするなど、米の海外の販路拡大に懸命。
 しかし、敢えて言わせてもらえば、これは「攻めの農政」ではなく、「守りの農政」でもなく「逃げの農政」。自民党が国内農政で得点がとれないためのパフォーマンスに映って仕方がない。とても、こんなことで国内農業再生の抜本的解決にはならない。それより、日本農業が、米が大事なことを国民にPRすること。それには、こんなパフォーマンス劇を演じるのではなく、“欽ちゃん球団”のような農業に熱い視線を向けるところを積極的に応援することだ。
 桜川村は球場の愛称を公募するという。この際、JAグループが村から球場命名権を取得し、「欽ちゃんパールライス球場」とでもしたらどうだろう。(だだっ児)

(2005.2.8)

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