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コラム

『いただきます』が言える日

 ご飯の上に駄菓子とマヨネーズの「駄菓子丼」。焼肉やウナギのタレだけをご飯にかけて食べる「タレ丼」。子どもの弁当はコーンフレーク(幼稚園で出る牛乳をかけて食べる)。また『魚イコールツナ缶』『お茶イコールペットボトル』とか。今、小さな子どもをもつ家庭内で、こんな奇妙な食事光景が広がっているそうだ(サンデー毎日、石川結貴「弧家族のゆくえ」)。
 こんな話も新聞に載っていた。「うちの子には給食の時に『いただきます』と言わせないように」と保護者に言われ、驚き、困惑している先生。学校給食は、給食費を納めているので、恵んでもらっているのでないとの親の言い分らしい、と(6・6日本農業新聞コラム「四季」)。
 コラムは、つづけて「農水省が小学生向けに作った冊子「『いただきます』が言える日」を紹介。「食べ物ができるまでには、田畑や海、山、それに人間以外の生き物までいろんな支えが必要なことを知り、素直に「いただきます」と言えるようになる物語」とある。子どももさることながら、保護者必読。
 そんな中、今般ようやく「食育基本法」が成立した。本来、何を、どう食べるかは個人の自由のはずだが、石川結貴さんが指摘するように、食卓から「まともな食事」が消え、平成版飢餓家庭が増える中では、こんな法律も必要になるのも仕方がないのかもしれない。
 ただ、残念ながらこの法律には大切な視点が欠けている。過日、日本農業新聞で伝統料理研究家の奥村彪生さんが、「食文化の基本は、その国の農林水産業の健全な振興である」と述べられていたが、為政者にこの視点がない。国民の食と自国農業はコインの裏表の関係。したがって、この法律は食の立て直しと農の再生を内容とする「食農教育基本法」とすべき。「農」の字を忘れている。
 これでは魚は気持ち悪い、お茶の葉の入った水はコワイ、「ありがとう」の意味も分からない世の中がつづく。コンビニで100円野菜を売るそうだが、そのうち、野菜は畑でなく工場(都会のど真ん中のビルの地下でも野菜はできるそうだが)で作られるものと、子どもは本気で思うかもしれない。
 幸い、今、全国各地でJA青年部を中心にした食農教育の実践活動が展開されている。こうした活動が実り、国民みんなが、素直に『いただきます』と言える日が来たときが、食生活の改善、いや、農業の再生がなったときだが…。(だだっ児)

(2005.7.6)

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