農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
 

「わだばゴッホになる!」

 日本の風景は水田が良く似合う。連休明けに、仕事で東北新幹線“はやて”に乗って八戸に向かった。仙台までは田植えはほぼ完了。仙台から盛岡までは、田んぼに満々と水の張った状態。水を張った田んぼを見ると、なぜかホッとする。これは、DNA鑑定せぬとも、紛れもなく農耕民族であることの証だろう。
 しかし、今日の日本人の多くは都市に住む。多くの人は、農耕民族の遺伝子が次第に薄れ、こうした農村風景をみても何の感慨も覚えないのではなかろうか。亀井農相が、従来の「食と農の再生プラン」の延長路線に、水と緑の「美の国」=風格のある農山漁村づくりを提起している。遅きに失する感があるが、美しい農村の風景こそ、日本人の故郷、日本人の公共財として、都市生活者も共有し、未来永劫、大切にしたいもの。
 出張先の八戸市で、偶然、「芸術の鬼」=棟方志功、生誕100年記念特別展が開かれていたので覗いてみた。青森に生まれた棟方志功は、若い頃、ゴッホのひまわりの原色の絵を見て、「わだばゴッホになる!」と洋画家を志したそうだが、日本の伝統文化である版画(自身は木画と呼ぶ)に惹かれ、独自の「版画」世界を築き上げた人物。木画はともかく、赤、青、緑、紫紺などの原色を使った、倭画(やまと絵、肉筆画)には仏教と融合した独特の志功の世界観を感じる。
 その志功の境地は、「よろこびも、おどろきも、かなしみも、涌いてくるように版画が涌いてきます。有り難いことです。…わたくしの体、命も版画になって仕舞うということを願っています。(昭和33年)」と、紹介されている。たしかに、作品1つ1つに魂・命を込めた東北人特有のねばっこい息づかいが聞こえてくるような気がする。
 貴重な紙面を借りて、宣伝を1つ。棟方志功展の向こうをはるまでにはいきませんが、恒例の「たらの芽展」をご紹介します。それこそ、ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、カシニョールばりの油絵・水彩画あり、日本画、ペン画、墨絵と、力作が並ぶ全農OB中心の17名のグループ展です。
 会期:5月22日(木)〜27日(火)午前10時30分〜午後6時30分(最終日5時まで)、銀座アートプラザ(数寄屋橋・宇津木カメラ4階、電話03(3289)2387)。ぜひ、ご気軽にご来場下さい。
 帰りに乗った、八戸のタクシーの運転手さん、「この辺は夏、やませが吹くでな。10年くれえ前の冷害はひどかったぜえ。稲っこに実が入らんで、立ちんぼなんだもな」。災害は忘れたころにやってくる…くわばら、くわばら。 (だだっ児) (2003.5.21)

社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。