農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
全農米穀部門OB会

 11月の半ば、全農米穀部門OB懇談会があった。自分は農協運動を60年もやってきたと、挨拶する80歳をゆうに超える先輩から、60歳定年を前に退職した団塊世代まで、約50人が出席。食管法堅持で頑張った世代、自主流通米制度の導入とその販売に苦労した世代、あるいは、外米輸入反対に全力をあげた仲間など、「全農は大丈夫か」という親馬鹿さながらの態で集合。
 新常務が「新生全農米穀事業改革」を披露。(1)生産者手取りの最大化を図るため、流通コストを徹底して削減する、(2)生産者が作って喜び、消費者が買って喜ぶ両者の懸け橋機能の発揮を目指すと、新生全農の使命を熱っぽく語る。しかも、米の計画生産・集荷円滑化対策、流通コストの削減、米販売の統合機能の発揮、パールライス会社の事業方式など、今後の対応方向には「徹底して」「徹底的」の表現が4カ所も盛られ、不退転の決意がひしひしと伝わる。
 たしかに、全農の米穀事業は、先の食糧法の改正により、自主流通法人の看板がなくなり、単なる米穀取扱業者の一つ。今の全農の現役は、OB会に集まったメンバーの時代とは180度ちがう環境に置かれている。全農の居場所は「販売にあり」という思いはOBも現役も同じながら、この環境の違いは天国と地獄くらいの差があろう。
 全中の販売事業等検討委員会でも、この事業改革は「実行できるかどうかが問題」との意見があったやに聞くが、できなければ「明日の全農」どころか、「JAグループの明日もない」のもたしか。過日、本紙の紙面審議会で、ある組合長が今農協は農業以上に危機的状況にある、今の農協は「明治維新3年前の幕藩体制」で、5年後には侍、すなわち農民と農家がいなくなり、農業経営者と農業従事者だけになるとまで言っている。過般の新農政における「担い手」づくりも、見方を変えれば、組合員という侍の切捨てなのかもしれない。
 その論はさておき、この米穀事業改革は、ひとり全農がきばったところで実現しない。JAグループが今の置かれている危機的状況を共有し、新生全農の旗のもとに、一体となって突き進む以外に道は開けない。東京国際マラソンで復活優勝した高橋尚子じゃないが「暗闇の中でも、夢をもてば、また必ず光が見える」を信じるしかない。久しぶりのOB会で全農の夢、いや、ビジョンを聞き、少し元気をもらいました。ガンバレ全農!OB一同。(だだっ児)

(2005.12.5)

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