農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム

「2007年問題」

 「都市近郊の住宅地に働かない60代がゴロゴロ。彼らは勤めも内職もしない。このため、通勤電車はガラ空き、都心のオフィスはあり余り、地価は下がる一方。労働力はどんどん減って、年金や福祉の負担だけが増大していく…」。これが官庁など「団塊お荷物論」者が描く社会だという(文芸春秋4月号)。
 「2007年問題」、これは昭和22年から昭和25年生まれの団塊世代と呼ばれる895万人もの人が、07年から順次、60歳定年を迎えることによる社会的影響を言っている。一つは労働力の減少、すなわち「量」の問題。何しろこの世代は、生産年齢人口の1割以上を占めるが、それを補充する次世代人口が少子化も重なって半分強ぐらいしかいない。
 もう一つは労働力の「質」の問題。もともと、2007年問題とは、長年企業において大型汎用機などの基幹系システムを開発・保持してきたベテランが引退してしまい、技術やノウハウなどが継承されず、システム維持が困難になる現象を指すそうだ。その兆候は数年前、みずほ銀行やUFJ銀行の合併時に発生したシステムトラブルにみるようにすでに現れているとも言われる。
 熟練技術者の知識・ノウハウの伝承は、あらゆる業種が抱える課題。近年、頻繁に起きる産業事故も製造設備の老朽化に加え、保安技術や技能が若手に伝承されていないのが原因とされる。農業界も高齢者が培ってきた農業技術、知恵の継承を急がなければ、美味・安全な農産物はつくれなくなるかも知れない。
 こうしたことから「団塊世代」の生みの親である堺屋太一さんは、これからの10年、2010年代の勝ち組は、“年金兼業”によって安価に、勤勉かつ良質な労働力を提供できる団塊労働力の活用に成功するかどうかだと言う。然り。
 団塊世代の先輩から一言。その社会的影響はいざ知らず、定年後、夫の環境は一変すれど、「居場所」がないのは現役時代と同じ。ある週刊誌に「50代の女性の多くは、家の中の王様。そこに定年後、異分子の夫が入ってくる。妻は王国を守るために定年後の夫に、外出しやすいように定期券を持たせる…」と載っていたが、すれ違いの関係を維持するのが熟年離婚しない、いや、されないコツだという、笑うに笑えない話が身につまされる。
 という訳で、我が家の場合は夫の定年後、奥方は近所のスーパーにご出勤、夫たる人は結婚しない(?)娘の送迎と孫犬の散歩に明け暮れるのでした…。 (だだっ児)

(2005.4.7)

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