農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム

地産地消&国産国消

 (1)消費税二桁化―大幅引き上げは必至、(2)団塊世代の大量定年のその後−700万人が「無職老人」、(3)フリーター500万人時代―定職を持たずに老いる若者たち、(4)熟年離婚ラッシュ−「年金分割」施行を待っていた妻たち…これは文春新書「10年後の日本」の帯から拾ったもの。
 これを「10年後の我が家」に置き換えると、さしずめ(2)の「無職老人」は確実、(4)の「年金分割」…妻たちも覚悟しなくちゃ。それより10年後、自分は生きているのかなとも思い、先の予測はあまりしたくない。でも、日本人の不得手な「危機管理」のうえでは、10年後ぐらいの予測は大事なことだと思う。
 そこで、これを「10年後の日本農業」としたらどうなるだろうか。この本では、今、世界の人口は約65億人、2015年には72億人になり食糧は不足すると予測。そのうえ、アジア地域など途上国の畜産物消費が増加し、加速度的に穀物消費の急増が見込まれるという。何しろ、豚肉1キロを生産するのに7キロの穀物、牛肉には11キロの穀物が必要というから、うなずける。
 さて、食糧自給率40%の日本はどうなる? 当然、世界の需給バランスが崩れたら食卓を直撃する。どうすればよい? 答えは、水田に100%、稲をつくること。ある本で、城山三郎さんと内橋克人さんの対談を読んでいたら、島根の松江牛の美味さの秘訣は、牛に米を食べさせている(土地がやせていていい牧草が生えないため)とか、鹿児島・鹿屋産の黒豚はさつまいもで育て、正真正銘の黒豚と胸を張っているとの話が載っていた。
 この例でみるように、日本の技術からすれば、何も外国産の飼料ではなく牛や豚に米をつかうことは難しくないはず。今、盛んに「地産地消」が叫ばれているが、国レベルでは「国産国消」(飼料など、国内で生産できるものは国内で生産し、国内で消費する)の考え方が必要ではないだろうか。
 全農の経営管理委員でもある内橋さんは、食糧については自給自足圏をつくることが人間にとって自然なあり方であり、本来の意味で国際貢献だ、と発言されている。まさに、そのとおりで、「地産地消」と「国産国消」を基本にすれば、貴重なエネルギーも、水資源も無駄にならない。第一、「瑞穂の国」が蘇る! アメリカ産牛肉に悩まなくてもいい。それには、どこかの国に毅然と「NO」と言える国にならなくては、と思うのです。(だだっ児)

(2006.4.7)

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