農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム 落ち穂

「五つの何故」

 「産む機械」発言で、”女性から総スカン”は、2月16日号「週刊朝日」のトップ記事。同誌は創刊85周年になるとかで、写真家・篠山紀信さんが撮った(78−97年)、その時代のアイドルやスターの表紙写真が組まれている。山口百恵、吉永小百合など、美女たちのショットが並び、なかに篠山さんが「ただただ、美しかった」という、故夏目雅子の写真もある。
 興味を引いたのは、夏目雅子の表紙写真の脇にある「反響騒然!学校は地獄だ いじめっ子の実態」と「新連載・立花隆 農協・巨大な挑戦」のタイトル。この号は79年10月の発売、おやおや30年前も「いじめ」が社会問題になっていたのか、立花隆氏は当時、農協や農業にどんな問題意識をもっていたのだろうか(残念ながら中身を思いだせない)、と思いやる。
 今、この国は、いじめ自殺や少子化など、教育や子供にかかわる問題と、戦後農政の歴史的転換といわれる農業問題が焦眉の課題。この二つは、この国の行く末を左右する大きな問題。それが故に、30年もの間、先送りしてきたツケが今や沸騰点に達しているのだろう。それを気付かさせてくれた柳沢厚労相の発言は、功績大?
 解決の糸口はないのだろうか。先日、某新聞のコラムで、トヨタのカンバン方式の生みの親といわれる大野耐一さんの「五つの何故」という言葉に出会った。いわゆる「トヨタ本」によると、これは正確には「5W1H」で、何か不具合が起きると、なぜ(Why)を5回繰り返して真因(単なる原因じゃない)を掴み、どうする(H)を考えるのだという。そういえば、どこかの大学教授が学生に北朝鮮問題を話題にすると、「北朝鮮は危険だから、日本は核武装すべきだ」という強硬論が大勢を占めるそうだ。教授は今の学生の論考の浅さを嘆いていたが、同じことが、先の二つの問題にも当てはまるように思える。
 たとえば、農業問題を考えてみると、「米が余るから生産調整だ」を何十年も繰り返し、そのくせ、自給率は一向に向上しないまま。挙句は6割も輸入に頼る危機的状況を迎えている。少子化や教育問題も、その場凌ぎの対処療法ばかり。ここは、トヨタの大野耐一さんに倣い「なぜ、少子化なのか」、「なぜ、農業は衰退したのか」を5回、いや、とことん繰り返し、対策をたてないと、「美しい国」どころか「醜い国」、いや、この国、民族は滅ぶやもしれない!?(だだっ児)

(2007.2.21)

社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。