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コラム  大仁田厚のファイヤー農業革命


熱く語ろうぜ! 農の明日

大仁田厚氏
 「なんでやねん」という言葉が返ってくるだろう。大仁田厚が『農業協同組合新聞』に連載を始めると聞いた友だちの国会議員も、今からこれを読む読者のみなさん方も、まずオレの話を読んでから判断してほしいのだ。
 さかのぼること5年前のあるテレビ番組。スポンサーはJAこと農業協同組合(1年がかりの撮影にもかかわらず、はっきり言ってギャラは安かったのだ)。タイトルは「都会の子どもたちと米を作ろう」。
 子どもたちだけでなく、オレも初めての体験。とりあえずオレたち一行は田んぼに向かった。田んぼの持ち主のお母さんが田んぼに入りながら、一本一本苗の植えつけ方を丁寧に指導し始めた。オレもすぐに靴を脱いで裸足になり田んぼに入ったのだが、驚いたことに、苗を植えつけ終わって横に移動しようとしても足が抜けない! テレビで見ているときは、いとも簡単にできるものだと思っていたのが大間違い。
 「オイ、オマエたちも入れよ」と、オレは子どもたちに呼びかけたが、誰一人として動こうとしない。それどころか、ある男の子が「そんな汚いのやってられないよ。カッコ悪いもん」と文句を言い出す始末。そんな中、一人の女の子が靴を脱ぎ、恐る恐る田んぼに入って来た。お母さんから苗をもらい、見よう見まねで一生懸命やっているうちに、一人二人と増え、やがて全員が入ってきた。
 中腰の状態で作業を続けるので、腰に鈍痛が走る。きつさを感じたころ、小型トラックがあぜ道に止まった。運転してきたお母さんのだんなさんが荷台から包みを取り出しながら、オレたちを呼んだのだった。
 「おーい、飯だぞー!」
 田んぼの脇にはきれいな用水路が流れている。じっとながめていると、型もサイズも柳川鍋に申し分ないドジョウがわんさか泳いでいるではないか。「オイ、こっちに来てみろよ!」というオレの声を聞いて集まってきた子どもたちはドジョウを見るなり、「これ何?」「食べられるの?」とはしゃぎ出した。
 最初はいやがっていた子どもたちも目を輝かし、いつしか自然に溶け込んでいく様子がわかる。泥んこになった手や顔をその水で洗い、あぜ道に座り込んで、みんなでほおばったにぎり飯は最高にうまかった。
 半年後には稲刈りと脱穀に挑戦し、さっそく試食会。「いただきます」の大合唱のあと、自分たちで作った米にパクつく。すると、汚れるのをいやがっていたあの男の子が「お米がこんなにおいしいなんて知らなかったよ!」と喜んでいるではないか。あとになって母親から聞いた話では、ごはん嫌いで困っていたというのだ。この子たちは米作りを通して、自分で作る喜びと、汗を流して働く尊さを肌で感じた。オレはこのときから、農業と教育は切り離せないと痛感したのだった。
 そんなわけで、オレの「農業革命」を、これから熱く語ろうと思っているのだ!!

大仁田厚ホームページ http://www.onita.co.jp/


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