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コラム 農民は考える
生産調整(減反)

 生産調整の目的は「なにか」である。それは「日本人が食べる米が過剰なので、米の生産量を減らし、米の需給バランスをとり、米価の値下がりを防ごうとすること」でしょうか。
 であるなら、ン10年減反し、40%近く減反しても米価は下がり続けているので生産調整の目的は達成されていないことになる。にもかかわらず、なぜ生産調整を続けるのか、である。
 目的が達成されないことが実証された時点ですぐやめること、この決断が大切なことであると考える。ダメだと分かった時に、すぐやめること、これが最も大切な経営判断である。
 ダメなことがはっきりしているのに、いつまでも生産調整を続ける農水省の役人やJA職員に「これからの農業者には経営センスが必要だ」ナンテ言われると、反論する気もなくなってしまう。
 調整とは10〜20%の範囲内をいうのであって、少なくとも5年以内のことを調整という。ン10年や、40%となると明らかに調整の範囲を超えており、構造を変えない限りどうにもならないことを示している。
 米の輸入を自由化しているのに、減反すること自体道理に合わない。外国の米を少しでも高い価格で輸入するために、減反をするのかと言いたくなる。
 新食糧法のスタートと同時に減反をやめるべきであった。また、農家の収入面からみると、12年産ヒトメボレの仮渡金は1俵当たり1万2000円なので、減反40%とすると、1万2000円×0.6=7200円、つまり減反せずに100%作付けて、1俵7200円で販売したときと同じ収入になる。
 減反をやめて、作る自由にまかせた場合1俵7200円まで米価が下がるのであろうか。私は下がらないと思う。
 以上のように無理な生産調整を続けながら、道理が引っ込んでしまった。無理が通れば道理が引っ込む、つまり、生産調整の目的なんてどうでもよいことになり、割り当てられた減反面積をどうやって100%達成するかが、生産調整の「目的」になってしまった。
 生産調整の目的なんてどうでもよいことなので、JAは10kg、2980円(ヒトメボレ100%)のチラシを入れ、率先して米価を下げているし、100%減反面積を達成している農家から、加工用米と称して、上乗せで勝手に口座からカネを引き落とす。ここまでくると、JAかも知れないが、もはや協同組合ではない。
 「目的どおり実行する。ダメだと分かった時はすぐやめる」この当たり前のことをキチンとやらない限り、集落営農とか、地域農業の振興とか、いくらお題目を唱えたところでナニもはじまらない。
 この当たり前のことをキチンとやらない限り、協同組合原則がどうのと、いくら大手町で説教しても「腐った」土台の上に、協同組合という建物はたたないのである。

(岩手県東和町・渡辺矩夫)



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