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コラム ―― 農民は考える
有機農産物認証制度

 JAS法を改定して、認定を受けないと「有機」という表示ができないことになった。
 日本では、3年間無農薬でないとダメとか、隣の田の水が入ってくるので、「有機」栽培にならないとか、「有機」=「無農薬」を前提に話がすすめられ、条件のきびしいJAS法になったようである。ところが、米国から輸入した「有機」小麦でつくったパンから残留農薬が検出され、しかも普通のパンよりははるかに高い濃度で検出された。(日本子孫基金)
 米国ははじめから、「農薬が残留しても“有機”と表示できる」という基準だったようで、日本の「専門家」はダマサレたナンテ言っている。お笑いです。
 農薬ナシの輸出―低温貯蔵、低温輸送または空輸―は、かなり高い運賃になるので、輸入「有機農産物」も高いものとなり、国産の「有機」農産物と同じか、それより高い価格になるのかナと思っていた。でも、やはりそうではなかった。カネが目的の輸出業者が、外国人に無農薬のものをたべてもらおうナンテ「良心的」なことをする訳がない。輸入品の「有機農産物」には農薬が残留している。
 私は認証制度そのものに、アホなことするナと思っていた。「本当に“有機”かどうか分からない」つまり、百姓を信用できないと言う消費者がいる。百姓は信用できないことは、その通りでしょうが、認証団体の方がもっと信用できないと私は思う。集落の人達は隣の子供は○○だとか、あの家のバアチャンがどうしたとか、他人の家の内のことまで良く知っている。だから、その百姓が農薬を使っているかどうかは、近所の百姓に聞けばすぐ分かる。
 「本当に無農薬かどうか分からない」という消費者は産地まで出向き、近所の百姓2〜3人に聞くのが、最も確実で最もカネのかからない“認証”の仕方であると考える。
 「有機」の認証を受けるということは認定料金つまり、認証団体の人件費などを農家が負担することになる。
 消費者から見ると、有機農産物を買うということは農産物の代金に認証団体の人件費などを上乗せした価格で買うということになる。
 このような余分なコストをかけた「有機」を買う必要はないと思う。消費者は、産地まで出向き、温泉に入ったり、手打ちそばを食べ、そのついでに、近所の百姓に聞くのが最良の方法である。JAS法で「有機」の表示はできませんと言うなら、「有機」という言葉を使わなければすむことでしょう。(岩手県東和町在住・渡辺矩夫)


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