農業協同組合新聞 JACOM
   
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輸出促進のため海外常設店舗も検討
18年度上半期農畜産物輸出は4億7000万円 −全農グループ



◆17年の農畜産物輸出は1772億円

 国は「攻めの農政」を推進するために、17年4月に平成21年までに6000億円の農林水産物等の輸出目標を設定し、輸出促進関連予算を大幅に増額するなどの取り組みを進めている。
 平成17年の農林水産物の輸出額は3310億円で、そのうち農畜産物は1772億円と全体の54%を占め、水産物は1447億円となっている。そのうち、果実・野菜・米などの生鮮産品は83億円で、茶などを含む主要農畜産物が166億円だった。一方、農林水産物の輸入額は7兆609億円で、輸出額の21倍となっている。
 また、18年1〜8月の農林水産物の輸出額は2242億円(前年比15%アップ)となっており、そのうち農畜産物は970億円、水産物は1212億円となっている。
 全農グループも「国産農畜産物輸出促進委員会」のもと、統一した方針・方法で品目横断的な輸出促進をはかるために、18年4月に総合企画部に輸出対策チームを設置。あわせて、全中から米輸出業務を移管するとともに、輸出業務の効率化をはかるために組合貿易との一体的な事業体制を構築し農畜産物輸出に取り組んでいる。

◆全農グループ17年度輸出額は19億4900万円で29%増

 17年度の全農グループの農畜産物の輸出額は、19億4900万円で前年よりも29%増加した。このうちリンゴ・ナシなどの青果物が全体の80%を占めている。本部別ではリンゴ・ナシの主産県である青森・長野・鳥取で81%を占めている。
 なお、全国本部はJAグループで統一した輸出を行っている米の3500万円、輸出が解禁された牛肉の600万円が中心となっている。
 18年度上半期の全農グループの農畜産物の輸出額は4億7000万円で、このうち食肉が8500万円、長芋が6000万円と大幅に増加しているほか、韓国への原料用甘薯でんぷん500万円の新規輸出も始まっている。なお、輸出の太宗を占めるリンゴ・ナシなどの青果物は下半期の取り組みとなる。
 18年度上半期の全農グループの輸出促進方策としては、シンガポール・台湾・米国・ポーランドでの国際見本市への参加、シンガポール・香港での日本産フェア開催による販促活動。海外渡航者を対象に、成田空港第2ターミナル(制限区域)に開設したアンテナショップ「ブランドJA」での月200万円を販売目標にした取り組みなどがあげられる。
 下半期についてもこうした取り組みを継続するとともに、中国への米輸出開始に向けた対応、LL牛乳・乳製品の検討や香港などへの和牛肉輸出に向けた対応など東アジアにおける2国間交渉の進展を念頭においた取り組み。台湾・香港向け青果物、ドイツにおけるカタログ販売など新規取引先への輸入を開始することにしている。

◆JAグループの海外常設店舗の設置も検討

 また、海外の百貨店・スーパーなどでの日本産フェアに販促活動は期間が短くスポット的な対応で継続性や費用面で課題があることや費用について補助金を活用しているが今後の見直しも想定されることから、JAグループとしての海外常設店舗の設置についても、19年度の重点施策として検討していく。
 開設国としては香港、台湾。シンガポールを予定しているが、輸入規制が低い香港に1号店を設置したい考え。店舗は全農が賃借し、1ヶ月単位で県本部・経済連の2県に同時に貸し出し、県産品の宣伝と試験販売などを行い輸出の恒常化をはかっていきたいと考えている。

(2006.12.20)



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