農業協同組合新聞 JACOM
   
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ポジティブリスト見舞金制度を創設
野菜・果樹などを対象に販売禁止命令で回収した場合の救済支援として −JA全農 (5/29)


 5月29日に農薬等の残留規制を強化したポジティブリスト制度がスタートした(改正食品衛生法の施行)。JA全農ではこれまでにJAや行政・指導機関と一体となって、農薬の適正使用とりわけ農薬の飛散(ドリフト)防止に向けた指導の徹底、生産履歴記帳を柱としたリスク管理の実践について周知徹底をはかってきた。また、県域や各JAに相談窓口の設置したり、巡回指導チームによる生産現場への指導など、この制度の導入に向けて取り組みを行ってきた。
 しかし、さまざまな作物が隣接して栽培されている国内の営農実態では、生産者が適正な農薬使用を行い、どんなに気をつけて防除をしても、農薬の飛散(ドリフト)など不可抗力要因を原因とした基準値を超える残留農薬の検出が絶対にないとは言い切れない。JAグループが実施した各種説明会などでも生産者からそうした懸念が表明され、この制度導入が生産者に重くのしかかってきている。
 JA全農では、生産者やJAがかかえるこうした不安やリスク対応への要望をふまえ、農薬取締法を遵守していたにもかかわらず、万が一残留農薬が基準値を超え、公的機関による販売停止・回収命令によって農産物が販売できなくなった場合の救済支援を目的として「全農ポジティブリスト見舞金制度」を5月29日に創設した。
 この制度は、共栄火災の損害保険(残留農薬見舞金費用保険)にJA全農が加入することで、リスクヘッジをし確実な運営を行うもの。

◆適正な農薬使用と生産履歴記帳が条件

 制度の対象者は、適正な農薬使用と生産履歴記帳を行っているJAの組合員。
 対象農産物は、野菜、果樹などで、米麦・穀類、荒茶は対象とならない。
 支出条件は、JAを通じ経済連(県JAも含む)、全農(県本部)のいずれかに「委託販売」した対象農産物が公的機関により販売禁止命令が行われ回収を行った場合。
 見舞金の規模は、1JA当たり年間で、回収となった販売金額の30%とし限度額は1000万円。全国での年間支出総額は5億円となっている。したがって、全国で年間総額が5億円を超える場合には按分されることになる。
 こうした見舞金制度は、共栄火災との損害保険契約もあって来年5月28日までの1年間となっているが、JA全農では、基本的にリスク発生状況をみて内容を改善しながら継続していていきたいと考えている。
 生産資材関係では初めての試みだといえる。

(2006.6.1)

 

 

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