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「畜産」核に地域振興 −畜産大賞 《中央畜産会》

挨拶する中瀬信三副会長
挨拶する中瀬信三副会長
  (社)中央畜産会主催の平成17年度畜産大賞の業績発表・表彰式が2月6日、東京・虎ノ門パストラルで開催された。
 同賞は畜産に関わる分野を、経営、地域畜産振興、研究開発の3つに分け、各分野ごとに優秀な事例を全国から推薦してもらい、それぞれの専門審査委員会で最優秀賞、その中から特に優秀なものを畜産大賞として表彰する。今年度の畜産大賞の選考対象事例は経営部門9、地域畜産振興部門21、研究開発部門18、計48事例で、今年度から一般公募方式も取り入れたので昨年度に比べ12事例多くなった。業績発表・表彰式は平成10年度から行われており、今年度で8回目を迎える。
 当初は14年度まで5年の計画でスタートしたが、高い評価と引き続き実施すべきだという声に押され15年度以降も継続して実施している。また、今年度からは、「時代のニーズに合っている」、「将来的に意義がある」、といった視点から特に優秀であると判断される事例を“特別賞”として表彰する制度も設けた。
 今年の大賞は地域畜産振興部門の(社)葛巻町畜産開発公社(岩手県)が受賞した。同公社は、昭和51年に町、農協等の出資により設立された。現在は、設立当初からの事業に加え、展示普及を目的に設置した生乳の処理加工施設を利用したアイスクリーム、チーズなどの製造販売や牧場内に作られたレストハウス、宿泊施設を利用した都市住民との交流、さらに草地の周辺にある山林を活用したシイタケ栽培などの林産事業を行っている。
 多くの公共育成牧場が経営的に困難な状況を迎えているなかで、地域の酪農振興に寄与している点、町内の第三セクターと連携して『ミルクとワインとクリーンエネルギー』の町づくりの中心的役割を果たしている点、職員一同が経営者的感覚・意識を持ち低コスト経営を行い長期に渡って安定した収支バランスを保っている点、などが高く評価された。山間僻地で以前は過疎化に悩んでいた町が、公社の活躍によって、今では年間30万人が訪れる、東北一の酪農の町になった。
 最優秀賞は、経営部門の石賀博和・恵子夫妻(岡山県)、研究開発部門のフィールド方式の肉用牛改良システム開発グループがそれぞれ受賞した。石賀夫妻は夫婦2人で、成雌牛59頭を飼養している。徹底した省力化と各種技術の改善で、子牛生産コストの大幅削減や高い労働収益性を実現させている点、さらに個体管理を徹底させ受胎率の向上をはかり平均種付回収1.23、分娩間隔12.0ヵ月とするなど高い繁殖技術などが評価された。
 また、フィールド方式の肉用牛改良システム開発グループは、京都大学、大分県、熊本県の関係者によって組織された研究グループ。産肉性の改良を科学的・組織的に行うため、肥育農家から枝肉市場に出荷された肥育牛のフィールドデータを活用し、種雄牛、および繁殖雌牛の遺伝的能力評価技術と計画的に優秀な種雄牛を作出する肉用牛改良システムの開発に取り組んだ。
 その他、優秀賞には経営部門の(有)大隅ポーク(鹿児島県)、地域畜産振興部門でJA鹿追町(北海道)、蒜山酪農農業協同組合(岡山県)、研究開発部門の成分調整堆肥研究グループが受賞した。また、特別賞は経営部門の(有)ジェイイーティーファーム(栃木県)、地域畜産振興部門の(有)東北牧場(青森県)が受賞した。
壇上に並ぶ受賞者
壇上に並ぶ受賞者
(2006.2.13)


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