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第48回全国家の光大会 静岡市で開催
人・JA・地域 広げよう元気の輪、協同の輪

「参加・参画する仲間づくり」に取り組みJAに結集する仲間の輪を広げることなど参加者全員で申し合わせた第48回全国家の光大会
「参加・参画する仲間づくり」に取り組みJAに結集する仲間の輪を広げることなど参加者全員で申し合わせた第48回全国家の光大会

 (社)家の光協会は2月10日、第48回全国家の光大会を静岡市のグランシップ大ホールで開催した。大会では第56回家の光文化賞の表彰や、記事活用、普及・文化活動の体験発表が行われ、地域に元気と協同の輪を広げる教育文化活動の大切さを改めて確認。参加者は「文化と協同の力」でJA運動の基盤づくりに取り組むことを申し合わせた。

◆体験発表の熱い思いを共有して

池端昭夫 家の光協会会長
池端昭夫 家の光協会会長
 池端昭夫会長はあいさつで、JAグループをめぐる課題として、食の安全・安心への関心の高まりとともに地域、JAによる「食農教育」の取り組みや、組合員のJAへの結集力の強化、JAの求心力の強化などをあげ、「家の光協会は結集力強化のための教育文化活動の提案、JA女性組織の活性化支援など、人が元気、組織が元気、地域が元気になる『元気キャンペーン』を展開している。大会での発表の思いを共有し、明日からのJA教育文化活動をさらに活発にさせる力となることを念願する」などと述べた。
 来賓の石川嘉延静岡県知事は「食の持つ教育的な意味に関心が高まっている。体力と知力は食を通じて作られる。『家の光』を国民的情報誌として広めていってほしい」と期待を寄せた。また、JA全中の宮田勇会長はJA改革などの「取り組みの基本は人。協同組合理念への理解を深めてJAに結集する必要がある。それには継続的な教育文化活動が必要。価値ある情報提供とJA運動を支援する役割の発揮を」などと語った。

◆家の光文化賞4JAが受賞

 「農村文化の向上に特別顕著な成績をあげている農協」を表彰する「家の光文化賞」は昭和24年に創設。これまでに延べ241JAが受賞している。
 今年度、第56回家の光文化賞は、JA遠州中央(静岡県)、JAグリーン近江(滋賀県)、JAいずも(島根県)、JA佐賀みどり(佐賀県)の4JAが受賞した。いずれも広域合併JAとして、組合員との距離の短縮や合併メリット還元のための事業運営体制の見直し・改革と、同時にそれらを支える積極的な教育文化活動、生活文化活動による職員の意識改革、組合員組織の活性化などへの取り組み成果が高く評価された。
 4JAには、同賞の賞状、正賞の床置時計・副賞の賞金とあわせ「コチア産業組合中央会記念賞」として、賞状・賞金が贈られた。コチア産業組合中央会記念賞は、太平洋戦争後の日本の惨状を知ったブラジル・コチア産業組合の組合員、職員有志がわが国の農業、農村の復興のために集めた募金がもとになっている。家の光協会が基金として運営し、家の光文化賞受賞JAに贈呈している。
 そのほか、「JA教育文化活動がJA運営のなかに位置づけられ総合的に取り組む姿勢がみられる」JAを顕彰する「家の光文化賞促進賞」はJAはが野(栃木県)、JA佐城(佐賀県)が受賞した。また、JA普及実績表彰では、特別普及実績表彰のJA岡山市、JAあいち知多、JAたじまをはじめ、合計39JAが表彰された。

◆記事活用し「食育」実践

記事活用の部で農林水産大臣賞に輝いた大石直美さん(左) 普及・文化活動の部で全国農協中央会会長賞に輝いた小野千鶴子さん(右)
記事活用の部で農林水産大臣賞に輝いた大石直美さん(左) 普及・文化活動の部で全国農協中央会会長賞に輝いた小野千鶴子さん(右)
 前日に行われたブロック別体験発表会の選考の結果、全国大会の「記事活用の部」で発表したのは、大石寿美子さん(長崎・JAながさき県央)、大石直美さん(静岡・JAハイナン)、今北純子さん(和歌山・JAありだ)、小野寺キエ子さん(宮城・JA栗っこ)、木元さとみさん(秋田・JA秋田おばこ)、小田ちはるさん(宮崎・JA日向)の6名。全員に家の光協会会長特別賞が贈られた。
 体験発表後、農林水産大臣賞に選ばれたのは、JAハイナンの大石直美さんの「感謝の心でつながる家族・仲間・地域」。
 専業農家に25年前に嫁いだ大石さんは、昨年度、女性部支部長に就任。女性の正組合員加入運動に取り組むが、部員からなぜ、正組合員にならなければいけないか、と問われ「答えに詰まってしまった」。そこで活用したのが『家の光』の「なるほどJA講座」。記事を読み込み、「正組合員になることは、ディサービスをやりたい、ファーマーズ・マーケットを設置してほしい、など自分たちの声を届け生活に役立ち利用しやすいJAにすることだ」と知り、それを仲間に訴えて回った。
 その結果、正組合員加入率25%を達成。女性総代も増え、自分も地区の第一号女性総代になった。
 こうしたエネルギーをくれたのが東京の保育園で働いている娘の存在。食育をしたいと帰省するたびに農業や伝統料理について家族に熱心に問いかけたり『家の光』を読む姿に触発され、大石さんも改めて通信教育で料理と栄養学の勉強を開始。今後は、女性部活動のなかで食育の講師になることも目標になった。「家族とともにあった『家の光』。学んだことを地域に、未来につなげていきたい」。
 審査委員長の白石正彦東京農大教授は、「なるほどJA講座」を活用して正組合員加入を進めた点を「これまでにない活動」と評価されたと講評した。
 また、中国から嫁いできた和歌山県の今北純子さんは、日本になじめずにいたころ『家の光』に掲載されたルポで水害から立ち上がろうとしている故郷、湖南省の人々の姿に心を打たれ、「中国人であることを忘れずに日本に溶けこめばいい」と自信を持ち、今では地域の文化交流などで活躍している体験を発表した。今北さんには審査委員会特別賞が贈られた。

◆教育文化活動はJA運動の土壌づくり

 「普及・文化活動」の部で体験発表し、会長特別賞が贈られたのはJAみやぎ仙南(宮城)の堀内寿夫さん、JAハリマ(兵庫)の小林満子さん、JA佐賀みどり(佐賀)の小野千鶴子さんの3名。このうち小野さんの「みどりの風にのって心結ぶ生活文化活動」が全国農協中央会会長賞に選ばれた。
 合併で7000人を超す部員となった女性部に、一体感を生み出す活動を女性フェスティバルの開催、環境問題への取り組みなど事務局としてリード。「座右の銘は、組織のレベルは事務局のレベル。生活指導員が活動のコーディネーターとして能力を高める努力を続けている」などと語った。
 白石審査委員長は、「自分がしっかりしなければという職員、専門家としての決意が感じられた」と評価。また、発表全体をふりかえって「秋のJA全国大会議案では教育文化活動が基軸になる。これはJA運動の土壌づくりの要。協同組合らしいJAづくりが期待されている」と語った。

(2006.2.27)


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