農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース

教育研修の徹底で全職員の能力引き上げを
 −全中の教育審議会が答申 (3/14)


 JA全中の教育審議会は、JA職員全体の能力を引き上げることを目的に、全JAで教育研修体系を策定すべきことなどを柱とした答申書を3月14日、JA全中の宮田勇会長に手渡した。
 教育審議会はJA改革を担う職員、役員の「教育・研修のあり方と実行方策」について審議してきた。
 答申のポイントのひとつはJAの戦略目標のなかに「人材育成」を位置づけることを求めたこと。この秋に開催される第24回JA全国大会議案は、JAごとに将来のビジョンを描くことを基本に検討されているが、そのビジョン実現のために、求められる人材像と教育・研修体系もJAとして盛り込むよう答申したものだ。

■コア人材育成も課題に

 具体的な教育研修のあり方として提起しているのが、人事管理制度のなかで階層別教育を必須研修として位置づけること。すべての職員が受講する仕組みをつくり女性職員の活用など職員全体の能力を引き上げる体制づくりを求めた。
 そのため中央会による集合研修のほか、JAへの出張研修、JAのインストラクター養成、ITを利用した遠隔教育など多様な実施形態が必要だとした。
 もうひとつのポイントがコア人材の育成。JA全体の戦略を企画し実行する人材が必要との観点から、合併構想実現JAでは、コア人材を毎年1名づつ継続的に育成することが望ましいとし、今後、全国で年間400〜600人程度の育成に取り組む。JAとしてもコア人材を人事管理制度に位置づける。
 コア人材育成のための選抜型研修については18年度から全中に研究会を設置して、選抜型研修として必要な内容や複数県合同実施など教育体制について検討を進める。
 また、役員教育については常勤理事と非常勤理事、理事と監事を区分した研修の実施を提起した。

■組合員とのコミュニケーション強化も

 いずれの教育・研修においても核となるのが、JA理念の共有だ。答申では、他企業との競争が激化するなか、協同組合としてのJAの存在意義が問われていると指摘、また、組合員の多様化が進むなかでJAへの求心力を高めることが求められていることも強調した。
 こうしたことから基本教育(階層別研修)、専門教育それぞれで、「農業協同組合としての社会的使命」と自らの業務、事業との関係を考えるなど、JA理念の共有を図るべきだとしている。
 また、今回の諮問内容は役職員教育のあり方だったが、審議のなかで組合員教育の重要性も指摘された。議論を受けて答申書には、「組合員とのコミュニケーション強化」も盛り込み、事業活動、組織活動、広報活動などの日常的な組合員との接点を通じたコミュニケーションの強化とJA理念の共有化を図るべきことも提起した。
 事業環境の急速な変化、合併による組織規模の拡大が進むなか、「人」の組織であるJAに、今後はJA主体の人材育成が求められることになる。

(2006.3.17)



社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。