農業協同組合新聞 JACOM
   
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消費者を巻き込み地域の農業を守る 多くのサポーター獲得を
 −農産物直売所 〈食・農・環フォーラム〉 (3/15)


会場からの質問に答える橋本氏(左)と岸氏(右)
会場からの質問に答える橋本氏(左)と岸氏(右)
 「食料・農業・環境フォーラム」の第66回学習会が3月15日、『農産物直売所の活動と課題』をテーマにJAビル・全中大会議室で開かれた。
 最初に(財)日本農業研究所研究員の岸康彦氏が、直売所の現状と問題点などを報告。農家の庭先に野菜等を置く無人のものから、年間10億円も売り上げるようなものまで直売所と呼んでいるが、「有人で定期的に開設しているものに限っても、全国で1万ヵ所は下らないだろう。実に雑多な形態があり、一括りにすることはなかなか難しい」と、直売所の多様性を指摘した。しかし、▽商品の大部分が地場産、▽卸売市場・量販店出荷に適さないものも並ぶ、▽生産者自身が搬入・値付けし、残品を持ち帰る、▽女性・高齢者も主役になれる、の4点がほぼ共通する特徴だと分析する。
 直売所が広がった理由としては、道路網などインフラの整備、牛肉・オレンジの輸入自由化に始まる日本農業の閉塞感、自分で価格が決められないことや規格品以外は受け付けてくれないことなど既存流通システムに対する不満などが根底にあるものと推測した。
 一方、消費者にとっては、生産者の顔が見え「安心」できる、知らないものやめずらしい農産物を売っているため(他品種少量生産)、それを見つける楽しみなどがあるという。

■大型化が進み、量から質の時代に

 ただし、ある程度成熟した市場となりつつある直売所にも課題は多い。岸氏は「全中調べで直売所の開設数を年ごとに見ていくと、1990年代は年間150〜300ヵ所がオープンしていたが、昨年は2ヵ所のみとなっている。年々大型化が進む一方で、売り上げが伸び悩んでいるところも多くある。直売所も競争の時代から、選別・淘汰の時代に入ったと言う人さえおり、今後は量から質の時代を迎えることは確か。ただし、質をどう考えるか、これからの課題だ」と指摘し、今後地域の中で生き残って地域農業を支えることができるか、今、岐路にあるとも述べた。
 (株)JAあぐりすかがわ岩瀬の橋本正和代表取締役は、『農産物直売所 はたけんぼ』について報告した。その中で、消費者とのつながりを大切にするため行っている『はたけんぼ通信』、『食育新聞』、『郷土料理教室』などの取り組みを紹介し、リピーターとして直売所を支えてくれる消費者を組織化することの重要性を強調した。また、小規模な自給的農家の組織化や新規作物の導入、午後の品揃えの充実、生産者による品質管理など、取り組みべき課題も多くあることも明らかにした。

■消費者の組織化でスーパーとの差別化を

 会場からは、「規模拡大のメリットは認めるが、大きくするだけではスーパーとどこが違うのか。何で差別化をはかるのか」との質問が出た。岸氏は、「株式会社の利点を大いに活用すべきだと思う。直売所ができて生産者を組織化することができた。消費者をどう取り込むかという問題が必ず問われると思うが、直売所を株式会社が運営し、消費者にも出資を呼びかけて組織化することが良い方法ではないか。直売所の運営に生産者と消費者がともに参加しているという意識を共有することが大切で、地域の農業を守る道」と述べ、株式会社形態を上手く利用すべきだと訴えた。また、橋本氏は、「今、我々が取り組んでいる活動は、まさに消費者の組織化であり、強力なサポーターづくり。買ってもらえるものをいかに提供できるかという問題はあるが、基本は消費者とともにめざす方向を探すことだと思う」と、『はたけんぼ』が行っている取り組みが、地域に定着しつつあると話した。
 スーパーとの違いや差別化は、両氏も語っていたように「生産者との交流を通じた消費者の組織化」にある。いかに多くの人にサポーターになってもらい直売所や地域の農業を支えることができるか、成功のカギはここにあるのではないか。

(2006.3.17)



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