農業協同組合新聞 JACOM
   
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若森氏が新理事長に、専務に唐笠氏
−パルシステム生協連総会 (6/19)


 全国の生協無店舗事業の約5割を占める個配事業を開発・確立し、その一環としてステージ別カタログを開発するなど、生協界で先進的な役割を果たしている生協の一つであるパルシステム生協連合会は6月19日、東京・池袋のホテルメトロポリタンで第23回通常総会を開催。05年度事業報告、06年度事業計画などを承認した。総会では役員選挙も行われ21名の理事と5名の監事を選任した。
 総会終了後の理事会で、理事長に前専務の若森資朗(わかもり しろう)氏、専務に前常務執行役員(運営統括本部長)の唐笠一雄(とうがさ かずお)氏を互選した。
 昨年組織名称を首都圏コープ事業連合からパルシステム生協連に変更し、パルシステムブランドの浸透に積極的に取り組んだこともあって、19万人を超える新規加入組合員があったという。その結果、年間供給高は1130億円と前年度比106.4%の伸長をみせている。また、当期剰余金も前年度比112.2%と前年度を大きく上回っている。

◆生協「岐路の時代」に新たな価値創造で

 06年度の事業計画では、今後の生協のあり方についてパルシステム独自の考え方を示しているので、そのポイントをまとめてみた。
 生協全体の流れとして、主要生協は日生協を中心として事業連合単位で、一体化を進めていくと予想。こうした「大きな連帯に組みしてこなかった生協は、ますます高度な付加価値創造を行っていくことが困難となり、新たな連帯の判断が迫られる」。また「世代交代とともに流動化が始まる」。生協と株式会社の違いが「資本構成や組織構成の違いのみ」となるか、「生協の新たな価値創造で存在していくのか」の「岐路の時代」となると予測し、「生協の強みを発揮する明確な方針と事業実績を持っている生協のみ」がこうした生協再編に主体的に関わりをもつことができる。
 そのためパルシステムは、「今ある生協の価値に留まるのではなく、将来を明確に意識し、そのために今、果たさなければならない役割、発揮しなければならない価値、生協としてのポジショニング(オンリーワンの立場)を意識して」取り組んでいく。そして、「現代社会の二極化は、低価格商品の提供を第一義的に目的化することで、生活者に貢献できる範囲を超えている」。低価格を目的とすることで輸入商品の氾濫、その結果としての国内産業の空洞化、日本の農業の破壊、地方(大都市の反義語として)の空洞化、大都市への富の集中などの「社会構造変化がもたらした危機に眼を向け、その流れに追随することなく、社会を是正する活動に眼を向けた取り組みを進める」としている。
 その具体策として「生産者との新たな連携強化で、日本の農畜水産業発展に貢献する」などの重点課題を掲げた。

【若森理事長のコメント】
パルシステムの新理事長に就任した若森氏は、本紙に次のような就任にあたってのコメントを寄せられた。
「経済効率を優先させるあまり、様々な歪みを生じてしまった現代社会において、多くの方が、個人の力だけでは対処しきれない課題に直面しています。
 私たちパルシステムでは、これら“くらしの課題”は“人と人との繋がりの中でこそ解決がはかれる”と考え、さまざまなことに取り組んでまいりました。現在、生産物を通じた都市と農村との心の交流、組合員同士が支援しあう仕組みなどが、徐々に定着しつつあり、また確実な広がりとして実を結びつつあります。
 これからもパルシステムでは、人の組織である生協が力を発揮できる分野、そして私たちがおかしいと感じる分野がある限り、発言し行動していきます。
これからもパルシステムにご支援を頂けますようお願い申し上げます。」

(2006.6.22)

 

 

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