農業協同組合新聞 JACOM
   
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「多様な農業の共存」粘り強く主張続ける
−WTO農業交渉で宮田会長  (7/2)


 WTO農業交渉はモダリティ(各国共通に適用される貿易ルール)確立をめざして6月末からジュネーブで主要国の閣僚級交渉が行われていたが、米国が国内補助金の一層の削減について譲歩を示さず、EU、日本などのG10に対して関税率の大幅引き下げなどを要求するこれまでの対立が解けず、合意には至らなかった。
 JA全中の宮田勇会長は7月2日、ジュネーブで談話を発表。今回の閣僚級交渉について「期間中、G10が一貫して強固な結束を堅持したことにより、輸入国に一方的な譲歩を促す不当な圧力を跳ね返したものと確信している」とし、「複雑で困難な状況のなかでG10の一致団結した対応は、われわれ農業者にとってきわめて心強かった」と評価した。
 また、G10の農業団体やEU農業団体連合会との強固な連携のもと、アジア・アフリカを含む世界54か国の農業団体にも広げ「途上国農業は脆弱、真に状況を改善させるべき」、「各国とも自国の農業を発展させていく権利がある」ことなどを内外に広く訴えてきたことを強調し「交渉はさらに継続されるが、国内、海外の多くの仲間とともに『多様な農業の共存』という正当な主張を粘り強く訴え続けていきたい」としている。

●7月末のモダリティ合意「非常に難しい」

 WTO交渉は6月末の閣僚級交渉で農業分野と非農産品分野でモダリティを確立し、7月末の全加盟国による全分野での合意をめざしていたが、農業と非農産品で進展がなかったため、農水省の石原次官は「7月末のモダリティの確立は非常に難しいというのが一般の取り方だ」と述べた。
 モダリティ確立の期限を9月以降に延ばすべきとの意見もあるが、「米国が譲歩の姿勢を示さなかったのは、11月に中間選挙があるからということ。さらに中間選挙に近づくことを考えると、なおさら厳しくなる」との見通しを示した。
 また、今後の交渉について「米国が自ら国内支持について、さらなる削減をしないままに、わが国をはじめとする輸入国に対して市場アクセスで非常に高い要求をしている。こういう姿勢を変えない限り進展をはかることができないのではないか。なかなか打開する手立ては見つからないのではないかと思っている」と米国の譲歩が鍵を握るとの見方を示した。

(2006.7.5)

 

 

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