農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース

家庭ではごはん食が多数、農業理解のPRが不足 −JA全農 (7/10)


 JA全農は主催・協賛している「食のフォーラム」、「農業体験ツアー」、「チビリンピック2006」の参加者を対象に『食に関するアンケート』を実施し、このほどその調査結果をまとめた。
 「食のフォーラム」は392人(女性390人、男性2人)、「農業体験ツアー」は定植80人、収穫93人の計173人、「チビリンピック2006」は小学5年生246人、同6年生255人の計501人に、それぞれアンケートを実施し、回答を得た。性別はもちろん、年齢にもかなりの開きがあるので、それぞれの参加者ごとに異なる質問をしているが、同じような内容を聞いた項目を比較・検討する。

■夕食はごはん食、ごはんにみそ汁が理想の朝食

 お米に関しては、1週間の平均的なごはん回数、朝食は何を食べるかなどを聞いた。フォーラム参加者は、お米を食べる機会がここ数年増えている24%、減っている14%、変わらない60%で、増えているが減っているを上回った。また、家庭でパンや麺類よりもお米を多く食べる人の割合は72%で、家ではお米を食べる人が多い。
 ツアー参加者に聞いた1週間のごはん食の回数では、毎日ご飯を食べるのは、朝食38%、昼食23%、夕食55%で夕食はごはん食が中心となっている。全体的には家庭ではごはん食を多く食べているようだが夕食が中心で、他はパンや麺類を食べる割合が多い。
 チビリンピック参加者の子どもたちは、朝食ではご飯(47%)よりもパン(53%)を食べる割合が高い。しかし、朝食には何を食べたいかと聞いたところご飯が58%で過半数を超えた。おかずはみそ汁と148人の子どもが解答し、子どもたちにとってもご飯とみそ汁が理想の朝食だ。
 米離れが言われているが、夕食はごはん食の割合が高いこと、子どもたちの理想の朝食はごはんとみそ汁であることなどのデータから、生活様式を変えることなどで米の消費が増える可能性があることが伺える。

■食料自給率の数値を知っているのは1割未満

 米や野菜、肉など食品を選ぶときに気を付けていることは、フォーラム参加者は価格、産地、消費期限(新鮮さ)がトップスリー。品目別では米は価格、野菜は新鮮さ、肉は産地に一番気をつけている。肉はBSE発生などで安全性が問題となっていることから、産地表示に多くの消費者が関心を示している。
 ツアー参加は主に新鮮さ、消費期限、添加物・農薬に気をつけて食品を購入している。特に、年齢が高くなるほど新鮮さにこだわる傾向がある。
 日本の農業に対して不安に思うことについての質問には、フォーラム、ツアーどちらの参加者も、▽担い手が少ない、▽食料自給率が低下していること、をトップにあげている。しかし、食料自給率の数値を知っている人はフォーラム参加者のうちわずか18%だった。
 また、フォーラム参加者のみの質問で、『農業の多面的機能』という言葉を聞いたことがない人が64%、聞いたことはあるが意味を知らなかった人が27%、聞いたことがなかったり意味を知らない人は91%もいて、食料自給率の数値を知っている人が少なかったのと併せ、農業関係者にはかなりショックな数字だ。
 『地産地消』、『トレーサビリティ』、『食育』という言葉を知っていた人は27%、9%、75%。『食育』については、食育基本法が制定され、マスコミで紹介される頻度が高くなったことで、多くの人が知っていたものと思われる。地産地消、トレーサビリティについての認知度は低く、消費者に浸透していないことが分かった。

■地産地消、トレーサビリティなどの浸透めざす

 チビリンピック参加者の子どもたちに、食べものや食事の時、両親からよく言われることのトップスリーは、▽好き嫌いなく食べる19%、▽野菜を食べる12%、▽残さず食べる11%。また、食育項目にあてはまるものでは(複数回答)、▽いただきますごちそうさまの挨拶をする78.6%、▽残さず食べる69.1%、▽はしを正しく持つ62.7%、と続いている。「いただきます」と挨拶して、はしを正しく持って残さず食べる、親が子どもたちに期待する食事の姿だ。
 JA全農はアンケートの結果から、ごはん食などについてはほぼ予想通りの結果だとしているが、食の安全に対して比較的関心の高い主婦が中心のフォーラム参加者が、自給率の数値や地産地消、トレーサビリティ、農業の多面的機能という言葉を知らないとの回答が多かったことは意外な結果だった。日本の農業を正しく理解して貰うために、今後一層PRに力を入れる必要があるとしている。

(2006.7.10)

 

 

社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。