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小規模農家の役割を明確化 −JA全国大会議案修正  (8/24)


◆多様な農業者を具体化

 JA全中は8月24日、第24回JA全国大会議案審議会を開催し、組織協議で出された意見をもとに一部を修正した最終的な議案をまとめた。
 JA全国大会組織協議案は6月1日の全中理事会で決定し、その後7月末を期限に組織協議が行われていた。各県中央会などから800ほどの意見が出され、それをもとに一部を修正した。
 今回の議案では「担い手づくり・支援を軸とした地域農業振興」がひとつの柱となっているが、これに対して「政策対象となる担い手づくりや一定の規模の担い手への対応を重視するあまり、小規模な兼業農家などの役割が軽視されるという誤解が生まれかねない」との意見があった。このため小規模農家の役割を明確にする修正を行った。
 具体的には、JAグループは「地域農業の担い手づくり・支援に中心的な役割を発揮することで地域農業を振興〜」となっていた記述に、「多様な農業者を支援する」ことも加えて、地域農業を振興する、とした。
 その「多様な農業者への支援」についても、具体的に「小規模農家・兼業農家・高齢者・定年帰農者や新規就農者などの多様な農業者への支援」との記述に修正している。
 そのほか、担い手対応促進のために今回は従来からの「組織事業対応」のほかに、「個別事業対応」を打ち出しているが、今後の組織事業対応の必要性について「小規模農家等は一定の規模を持つ担い手とともに地域農業を支える重要な役割を担っている」ことを明記した。

◆誤ったJA批判を明記

 組織協議案では、JA批判に対しては「組合員・地域住民等の理解を得ることが批判に対する強い反論になる」としていた。しかし、規制改革・民間解放推進会議が主張した信用・共済分離論は、JAに対する「誤った認識に基づく主張」であり適宜に反論するべきだとの意見も出された。
 そのため、議案冒頭の「情勢・基本方向・ビジョンと主要な取り組み」部分で、「JAの総合性が農業の発展を損ねている、など誤った認識にもとづくJA批判」があることを明記。そして「今後も適切にJAグループの主張を明らかにしていくとともに、広報活動等を通じてJAグループの果たしている役割について正しい理解の促進に努めます」との記述を加えた。

◆生活活動・事業を積極化

 組織協議では、JAグループが販売するすべての農畜産物に生産履歴記帳をする目標を掲げていることに対して、徹底は困難との指摘もあった。しかし、相当に困難な目標ではあるものの、安全・安心は日本農業の発展のために追求していくべき課題だとして、議案は修正せず、対外的に実践を宣言することとした。
 また、今回の議案の柱のひとつ「安心して暮らせる豊かな地域社会の実現と地域貢献」では、食農教育と高齢者生活支援を重点として実践することとしているが、組織協議のなかでは、この部分にさらに生活活動・事業を積極的に展開することを盛り込むべきだとの意見があった。
 このため新たに「くらしと地域を支える事業の仕組みづくりと担当者の育成」という項目を加え、JAによる生活活動・事業体制の構築や地域を巻き込む仕組みづくりと、担当者の育成に、中央会が取り組むことを記した。今後、全中は生活活動研究会を設置し、生活活動のあり方について研究するという。
 女性や青年農業者などのJAの参画について組織協議案では、JAが数値目標を設定して具体策を策定することとしていた。数値そのものは示していない。
 この点について組織協議では、具体的な数値を示して強力に推進すべきという意見がある一方、それぞれのJAの実情をふまえて進めるべきとの両論があった。
 そのため、JAグループ全体としての目安を置いたうえで、JAごとに実情をふまえて目標数値を決めて実践すると本文を修正。解説部分で(1)女性正組合員・総代のJAグループ全体としての目標目安は、それぞれ25%、10%とし、各JAが目標を定める、(2)女性理事は、全国でJA数と同数以上を目標とし、各JAが目標を定める、(3)青壮年部正組合員、同出身理事の目標は次期全青協中期計画で整理する、と明記した。
 修正された議案は9月8日の全中理事会で協議し議案として正式に決定される見込み。第24回JA全国大会は10月10、11日に開催される。

(2006.8.30)

 

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