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外食・加工のコスト縮減具体化を −全中宮田会長  (9/12)


 第4回「食料供給コスト縮減検証委員会」が9月12日に開催され、事務局から提出された『食料供給コスト縮減アクションプラン(案)』について議論した。
 食料供給コスト縮減は、本年4月に決定した「21世紀新農政2006」の中に盛り込まれた国内農業の体質強化に向けた取組みの一つで、生産・流通の両面でコスト縮減を進め「5年で2割のコスト縮減」をめざしている。アクションプランは、低価格資材の供給、経営規模拡大・技術開発、物流改革、消費者ニーズ等への効率的な対応、JAの経済改革の5つを柱とした。
 経営規模拡大・技術開発では、担い手への農地の利用集積や農業経営に意欲的な企業等の新規参入を促進すると同時に、超低コストハウスの開発、機械化適正の高い品種の育成を進めるなどとしている。消費者ニーズ等への効率的な対応では、規格外品を含めた多様な選択肢を提供することが、食品ロスを減らし輸送コスト等を含めたトータルのコスト縮減につながるとの認識が示された。
 JAの経済事業改革では、前回までの議論のなかで一部の委員の発言にあった信用・共済事業の分離論は、アクションプランとは次元の違う話とされ、販売・購買事業、営農指導などと並んで両事業も生産者に必要な事業として、総合的な事業実施のメリットを活かすべきだとした。
 竹内克伸(株)証券保管振替機構代表取締役社長は、「コスト縮減といってもビジネスの世界のことなので、ビジネスとしてどう業績を上げられるかがカギだ」と、アクションプランの成否はビジネスとして成功することが必要だとの意見をのべた。また、船田宗男(株)フジテレビジョン報道局解説委員主幹は、「日本農業が競争力をつけることは必要だが、5年で20%縮減という数字は厳しいのでは」との感想を述べ、コスト縮減の取組みでは生産者、流通業者、消費者など各段階の人々の取組みの連携が大切だと語った。
 国民が最終的に消費した飲食料費約80兆円(平成12年)のうち、生鮮のまま消費されたものが約2割で、加工食品として消費されたものが約5割、外食として消費されたものが約3割となっている。宮田全中会長は「(生鮮の)2割を論ずるより残り8割のコスト縮減をどう具体化するかを問題とすべきだ。生産コストを下げることは、生産者にとって負担が大きい。トータルで2割削減するという目標の意味をもっと考える必要がある」と、このアクションプランは生産者にとって厳しい内容だと述べた。
 今回示されたアクションプランは、当面、生鮮(加工用原料を含む)段階の食料供給コストに関して検証していくとしているが、残り約8割の加工食品や外食で消費される部分のコスト縮減を、今後どのように進めていくか注目される。
 今年度末には、アクションプランに基づき実施した1年間の取組みの実施状況・成果を点検する。

(2006.9.15)



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